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【12】「慈悲は不要だ」
「良いね、実に僕好みの生意気さと気の強さだ。でもね正直理不尽だと思う事はあるよ。 断言しても良い。君の周りは狂ってる。異常だ。頭がおかしい。」
「何だって?」
「君は大事にされるべき人間なのに、君に対する仕打ちは理不尽だ。君が正当に評価されないなんておかしいだろ。」
何を言ってるんだこの男は。
珍しい動物を見た気持ちになる。
正当に評価されていると錦自身は思うのだが、海輝は納得がいかない様だ。
理不尽だとも思わない、例えそうでも世の中にはもっと理不尽な事はある。
負債を抱えてる人間に必要以上の慈悲は不要だ。
少なくとも彼の言う錦に対する「理不尽」な仕打ちは受けるべき義務なのだ。
錦自身に向けられた価値への回帰にすぎない。
生と引き換えに抱えた負債故なのだからと、当人である錦が納得していると言うのに。
この男こそ正気なのか。
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