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【14】「君の側に近づきたかった」
「ごめんね。卑しい考えだとは思うよ。でも、どうしても君の側に近づきたかった。」
「――3年も…そんな事を?」
「天涯孤独になるまではスパルタ教育とは無縁の生活でぬくぬくしてたからね。 ごく普通の男子学生が行き成り朝比奈家の皆さんに 絞られるんだ。ご褒美がないとやってられないでしょ。」
「ご褒美」
海輝は錦の手を取り握る。
「そう、ご褒美。」
そして頷く。
「無事に君の兄になれて良かった。こうして本物の君に触れることが出来た。 君の声を聴いてみたい顔を見てみたい話をしてみたいって。願いがやっと叶った。」
――『攫いたくなっちゃった。攫って、君と話してみたい。 君の顔をじっくり見てみたい。君と仲良くなりたい。』
錦は彼の言葉を信じなかったが嘘偽りはなかったのだ。
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