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【18】「引き寄せる」

錦自身の存在を測るのはこの家だ。 彼も朝比奈の歯車なのだ。 しかし彼がもしも錦と同じように家の役に立たないのであれば、彼の価値はないと言う事になる。 海輝の価値が? そんな事は…考えられない。 錦にとって、かけがえのない存在なのだ。 彼が錦と同じように地に転がされるような重みで有る筈はない。 「――…・」 海輝が不意に言葉を失くした錦の後頭部に手を回し引き寄せる。 額と額がこつりとぶつかった。 「それは僕が決める。」 額を合わせたまま錦を見下ろす。 胸元から背をしならせ上を向いた錦の目を海輝が射抜く。 視線がかち合い目を伏せそらした。 含羞の色を浮かべ、海輝の胸に手を添えそっとおす。  体は長い両腕に囲われているので、完全に離れる事は出来ないが目を覗かれている状態よりは冷静になれた。 この男と話をしていると、悪魔を相手にしている気分になる。

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