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【21】「証明してくれないか」

「僕じゃダメなのかい?」 望み、海輝に求める事? 付加価値のない朝比奈 錦が欲しがることは、いけない事なのに。 この男は、それを欲する。 「――俺の側に居て欲しい。」 それ以外はいらない。 「他には、なにもいらない。ほしくない。」 小さく掠れた声だったが、願いははっきりと形を成した。 酷く驚いたように目を見開き、随分と幼い表情で錦を見返す。 そして少年の様に頬を紅潮させ、目尻を下げ相好を崩し続きを促す。 躊躇いながら口を開閉し、結局は言葉を続けた。 「お前は俺に価値が無いなどありえないと言った。俺を満たす権利が欲しいと言った。お前にやる。そんなもので良ければ幾らでもお前に渡そう。お前が嘘をついていないなら。お前の言葉は真実だと証明してくれないか。」 「僕を疑うの?いけない子だねぇ。それともまだ分からない?これは尽くし甲斐があるなぁ。」 「お前に差しだせるものは何にもない。でも俺の存在に僅かでも価値があると言うなら、俺の頼みを肯定してほしい。それ以外はいらない。」 「君に関して否定する事なんて何一つない。何度も言ったのに。まぁ良いさ。時間はまだあるから、楽しみだ。秋も、冬も、春も。 その先もずっと一緒だよ。 これからは僕無しじゃ生きていけなくしてあげる。」

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