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【22】「最終回答」

「海輝。」 「うん?」 夏休み中、何度も時が止れば良いと思ったが今はもうそんな事感じない。 この男と作る思い出が未来へ向かい積み重なっていくのだ。 「本当にずっと一緒か。」 「うん。大学が始まれば戻らないといけないけど、僕の返る場所は君の隣だ。約束しよう。」 「海輝。」 「うん?」 「お帰りなさい。」 「ただいま。錦君。」 彼が返る場所は、錦の居る場所だ。 もう一度、「ただいま」と海輝が言うと胸が温かく満ちた。 微笑した錦を眩し気に見つめてくる。 背に回された腕に力が籠められる。 胸へ抱き込まれたので甘える様に額を摺り寄せた。 もう、夏休みが終わっても寂しくない。 カウントダウンの必要もない。 『僕がいる。だから君は幸せになる。 もしも僕の言葉が真実になったら君の言葉で答えて欲しい。』 夏休みが終わる頃に欲しい物を手に入れると彼は断言した。 錦はその言葉を嘲笑した。 何もいらない、欲しくないと跳ね除けたが―― 『その時、君は幸せかどうか僕に教えて。』 海輝。 夏の終わりには何も望まないと言った俺は考え方を改める、お前はそう笑った。 答えなら、夏が終わるどころかお前と過ごした夏休み中ですでに出ている。 そして、今それを確信した。 見直しても修正の必要のない最終回答だ。

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