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第16話 躾①⚠
~零said~
目が覚めると、そこはまた知らない場所だった。
どうやら茶色のフワフワしたカーペットの上で僕は丸まって寝ていたようだ。
それにしても...ここは全体的に家具がなく、静かだ。
ふと見ると、僕の身体には少し大きめのバスタオルが巻いてあり、下は裸だった。
「え...、なんで服...。というか、どこだ...ここ...いッ!」
真っ裸で寒いので、とりあえずタオルを羽織って立とうとする。
しかし、足と腰に激痛がはしり、それは叶わなかった。
仕方ないので子どものように、四つん這いで歩き進む。
見たところこの部屋には誰もいないようだ...。
すると、一人の男性がドアを開けて入ってきた。
目は半分開いておらず、眉間にシワがよっていて煙草をくわえている。いかにも悪そうな奴だ。
他にはサラサラしてそうなこげ茶の髪。背もそこそこ高く、身体もしっかりしているほうだと思った。
頭には、薄紫のねじれた角が二本生えていた。
「あぁ...、起きたか。ったくおっせぇんだよなぁ...。」
「え、あ...ごめん、なさい....。えと、名前...なんですか?」
初対面のはずなのになんでこんなに態度が悪いのは多分僕が普通ではないからだろう。
しかし、知らぬ人と喋るのは気が引ける。とりあえず名前を訊く。
「...チッ、...海。」
舌打ちをされた...。訊いちゃまずいことだったんだろうか...?
とりあえず、現在地を聞こうとしたその時―――
「あ、の...海“さん”。ここは一体―――うッ!!」
「...は?海“さん”っつった??角もねぇ人もどきのテメェが人様への口の利き方ちげぇんじゃねぇの??おら、人様はなんて呼ぶんだ?あぁ??」
海さん、と呼んだ瞬間僕の腹に蹴りが入る。
裸なので余計に痛く感じた。
「...っごめ、んなさい。海“様”でいいです、か...ぐふッ!!」
「当たりめぇだろうがクソガキがっ!いいか?俺は知り合いにお前の世話を頼まれた。...つまり躾だ。まぁ、角がねぇなんて思ってもなかったからな...、余計に躾がいがあるってモンだわ。
じゃあ、これからテメェが人様への態度を改めて、反抗とかしねぇようにしねぇとなぁ...?.....俺好みに調教してやるよ。」
正解を言ったのに、頭を殴られる。理不尽だ...。
それに、躾...てなに?この人は角が生えてない人を人と認識してない....?
所詮、そんなものだろう。現に僕は今までまともに人として扱われたことがない。
そして最後の調教という言葉...。僕は一気に恐怖のどん底に落とされた。
僕が海様の言葉に絶句していると
「...何?返事もできねぇわけ?テメェに拒否権があるとでも思ってんのか?おい、何とかいったらどうなんだよ!!」
「...ぐあぁっ!!いッ、...は、い。わかり...ました、あぁッ!!」
「返事がおせぇなあ...??まともに喋れもできねぇのかよ糞が...!」
今まで学校で受けてきたものよりも遥かに強い暴力。
身体を蹴られれば骨にまで響くほどの痛み、顔を殴られれば鼻や唇から血が滲んでいた。
それでも抗えないのは僕にはこの人に物を言える立場にいないような気がしたからだ。
「で、テメェは人以下の存在だ。俺に口出しはすんな。命令は絶対、反抗したら仕置きだな。
さて、じゃあコレ首につけろ。」
「...っは、い」
そういわれ、渡されたのは鎖のチェーンのついた黒いドーナツ型の機械の様なもの。
一度ロックを外し、首につけて再度ロックする。
鎖の先を海様が手にもち、強く引く。
その力で僕の身体が首からひぱられ、息が出来ず苦しくなる。
「ッ...!!」
「お前は躾けられるんだからなぁ...。首輪とかねぇとだめだろ?様になってんじゃねぇか。
...因みに、ソレこのボタンで電流走るんで。相当痛いだろうけど、一回試しに流してみるか。コレの怖さがわかんないと悪いこと沢山しちゃうだろ...?」
そういって、手のひらサイズのリモコンを僕に見せる。
冷や汗が流れ落ちる。普通に受けても電気は痛いだろ...。
それを首になんて....っ!!
嫌だ、怖い....!絶対に嫌だ。本当に嫌だ...!!
「や...です。悪いことしないから、電気は....っ!」
「....はぁ...。だーかーらー、それが悪い事っつってんだろうがっ?!さっき言ったよなぁ??反抗するなって。その時点でアウト。お仕置きだね...?大丈夫、コレで死んだ奴はそんなにいねぇから。」
嘘、そんな...の、嫌に決まってるじゃないか!!
誰だって断るに決まってる!!
...それに“そんなに”いないって事は死んだ人はいるって事だろう。
この人、人を殺したのか...っ?
「じゃあいくぞ。お仕置きターイム」
「や、やだっ、海様!!やめてくださいっ!!いや、いやだっッッぁあアあああアあッッ!!!!」
今まで味わったことのないほどの強烈な痛みが訪れる。
この狂った男の躾は僕の叫び声から始まった。
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