18 / 21
第18話 躾③
しばらくして、海様が戻ってきた。
手には、3つのパンと1Lの水を持っていた。
「おら、昼食持ってきてやったぞ。コレ、夕食までに全部食えよ...水も。出来なきゃお仕置きだ。」
「...っ、はい。わ、かりました....。」
そう、返事をすると目の前に乱暴に投げ捨てられる。
パンはいけるかもしれないが、水は普段飲んだとしても500mLの3分の1ほどしか飲まない。この量...飲みきれるだろうか...?
しかし、お腹が空いていた僕は水のことは後回しにし、目の前のパンにかじりついた。
その間、海様は上から僕のことをじっと見ていた。
僕がパンの一つを食べ終わり、二つ目を食べ始めた頃一つの疑問が湧いた。
また暴力をふられるのは怖かったが、恐る恐る訊いてみた。
「あの...、海様。今日って、平日...ですよね?学校とか、家族とか...僕連絡とってないんですけど...。」
「...学校には俺の知り合いがやったらしい。家には一応連絡はしたらしいが...」
海様がそういうとニヤリと笑って続けた。
「『ウチは大丈夫なんで、お好きなだけ泊めてやって下さい』、だとよ。ははっ、何だか遠まわしに帰らせるなって言ってるみてぇだな。」
「...そう、ですか。」
言い終わると海様は床から出ている突起に僕の首輪のチェーンを繋げると、扉をあけどこかへ行ってしまった。
僕はというとパン三つを平らげ、水を満足するまで飲んだ。
しかし、減ったのはほんの少し。これを飲みきるなんて僕にとっては難しいものだ。
それでもお仕置きを避ける為に一生懸命水を飲んだ。
でも、海様は僕が喉が渇かないようにと思い水をくれたのだろう。
一応、それは善意なのだからお仕置きがあるかないかではなく、飲まなきゃいけないような気がした。
―――しかし、後にこの考えが間違っていたことを僕は知る事になった。
ともだちにシェアしよう!