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雨の日に4
突然従順になったアオキに少し驚きながらも、舛花 はニヤリと笑った。
「そうそう、初めからそうしてれば良かったんだよ」
アオキの後頭部を押すと同時に、喉奥目がけて腰を突き上げてくる。
反射的に嘔吐いてしまうが、すぐに喉を開いて受け入れた。
娼妓は辞めても、こういう時にどうすればいいのか身体はしっかりと覚えているらしい。
アオキは舌を駆使し、唇を窄め時々吸い付いたりしながら熱い肉をしゃぶった。
亀頭を舐め回し、先端の溝をほじるように舌先で突つく。
我慢汁が滲み出てアオキの口の中を青臭くさせてた。
「はぁ…っ、すっげ…」
次第に舛花の息が上がっていく。
上擦った声に耳を傾けながら舌で唇で喉で手で男のものを扱いた。
もう少し…もう少し…
ビクビクと震える双睾を揉みしだきながら、アオキはチラリと男を見上げた。
舛花はその端正な顔を歪め、恍惚とした表情ですっかり感じ入っている。
射精に向けて口の中でそれがむくむくと膨れるのを感じ、アオキは唐突に口淫を止めると、呻く舛花の腰を押し返した。
今にも爆ぜそうだった勃起肉がぶるんと口から飛び出す。
唾液が糸を引き、アオキの口と舛花の性器の間で卑猥に繋がった。
「…っく…おい、離すなよ」
もう少しでイきそうだったのにと不満を漏らしながら、舛花が急かすように腰を押しつけてくる。
しかしアオキはそれを軽く去なすと、着物を捲り下着をずらした。
ぷりんとした双丘を押し開き、昨夜の名残でまだ赤く腫れている肉襞を見せつける。
舛花の眼差しがそこに注がれた。
「ここに…挿れたいですか」
アオキは妖艶に笑ってみせた。
舛花がゴクリと生唾を嚥下する。
更に誘うように片足を担ぐと、唇を開き指先をしゃぶって見せた。
ぴちゃぴちゃとわざと音を立ててしゃぶると、その濡れた指先を二本、自らの淫靡な孔につぷりと差し込む。
そのまま指をぐぬりと開くと、柔らかな襞がいやらしい音をともに左右に広がった。
男の目の色が変わる。
アオキはそれを見逃さなかった。
「…いいですよ」
そう言うと、鼻息を荒くした舛花が、飛びかかってきた。
まるで餌を前に、待てと命じられていた犬のように嬉しそうに尻尾を振って。
それを軽く躱すと、アオキはクスッと笑った。
「但し…花代を払ってください」
「は?」
再び御預けを食った舛花がおかしな声をあげた。
「花代?」
「当たり前でしょう?淫花廓のしずい邸の男娼を抱くんですから当然です」
アオキがきっぱりと告げると、舛花は目に見えて狼狽しはじめた。
さっきまで主導権を握りアオキを我が物顔で組み敷いていたくせに、面白いほどオタオタとしている。
アオキは未だにガチガチに勃起して涎を垂らしている舛花の男根にふぅっと息を吹きかけると、最後の殺し文句を投げかけた。
「もちろん、お金を払っていただければ、舛花さんが今まで感じたことのないような天国をみせて差し上げますよ」
舛花の顔が真っ赤に染まる。
自分の方が力もあり、アオキの細い身体なんてその気になれば簡単に組み敷けるというのはすっかり頭から抜け落ちているらしい。
今にも泣き出しそうな顔で縋りついてきた。
「ちょ、ちょっと、待って…今すぐ金は用意できないけど…いつか絶対払うから…あ、後払いでもいいかな?」
しかしどんなに頼み込まれてもアオキはツンとそっぽを向く。
これは仕返しだ。
力で組伏せれば抱けると思っている、どんな奴にでも簡単に身体を開く淫乱だと思っている。
しずい邸の男娼たちを罵った罰だ。
「そんなのがここで通用すると思ってるんですか?ゆうずい邸の男娼はもっとプロ意識の高い方ばかりだと思ってました」
「そんな…」
舛花が絶望的な声をあげたその時だった。
「それじゃあ、代わりに俺が買おう」
どこからか声がして、アオキと舛花の間に何かがドスッと落ちてくる。
見るとそれは帯封付きの札束だった。
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