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第3話
「おぐっ、おがぁぁぉぁぁぁぁぁぁ」
私と帽子屋がカーテンに近付くと、断末魔の様な声が聞こえる。
ここでは普通の事だからか帽子屋は平然としているし、私も別に驚きもしない。
ここは地上での“普通”が通用しない場所なので、一々驚いていては何も始まらないと思うわ。
私もここに来るときは何があっても驚かない様にしているの。
「おーい。何処まで進んだ?」
「今いいところー」
帽子屋がのんびりと声をかけると、カーテンの中から凄く楽しそうな弾む声が返ってくる。
ここの住人の一人が嬉々としてゲストのおもてなしをしているところのようだった。
「んぅ、ううぅ、ぐずっ」
中を改めて覗いてみると、診察台の様なベットの上に男が手を後ろ手に縛られた状態で押さえつけられていた。
男の尿道には何かがずっぷりと刺さっていた。
明らかにプレイに使うような物ではないのは一目瞭然で、男のぺニスの上には今の状況には不釣り合いな可愛らしいものが鎮座している。
「あら、それ可愛いわね」
「ダイヤ!久しぶりだね!」
「何を使ってデコレーションしているのかしら?」
「へへへ。マドラーなんだー」
無邪気に教えてくれた相手の指先は、マドラーの上のウサギがちょこんと座っているデザインの飾りがついていてそれをするりと撫でた。
私は場違いながら男に刺さったマドラーを観察する。
痛々しく真っ赤に充血したぺニスに不釣り合いな可愛らしさが異常さを更に引き立てていた。
「来る途中で攻め具に使えそうだと思って、衝動買いしたんだ!こんなに早く使えてラッキー」
「やだ…いたっ、痛いっ!」
「そっか痛いかぁ。あはは」
話をまったく聞いていない無邪気なこの子は、三月こと三月ウサギ。
三月は医療用のゴム手袋を相手に見せ付けるようにわざとパチンと装着すると、マドラーの先端をぐいぐいとぺニスに押し込んでいく。
相手の痛がり方的に表皮の麻酔などはわざとせずに、相手が痛がるのを楽しんでいるのだろう。
「でも、何でマドラーなんて使ってるの?」
「ブジーは種類たくさんあるけど可愛くないからさ。おっ、核までとうちゃーく!」
「やだっ!やっ!」
男が激しく頭を振って狂った様に暴れだす。
ぺニスの先端ではローションが泡立っている。
一応ローションは使っているみたいだけど三月は痛がる相手の訴えをまったく聞く耳を持たず、ぐるぐるとマドラーを回したり、上下に動かし遊んでいる。
玉は力強く、ぐにぐにと揉んだり指で弾いたりしている。
上下に動かす度に、マドラーの隙間から少量の液体が滴っていた。
「いぎっ、いっ、ぎゃっ」
「はいはい。意識飛ばさないでねー」
男はぺニスを弄ばれる度に意識を飛ばしそうになっているが、その度に玉を叩かれ意識を呼び起こされる。
顔は涙や鼻水など色々な顔から出るものが全て出ていた。
「J~?そろそろいいよー」
「はぁーい」
側にいたJちゃんは三月の声に持っていたバッグを開け、小さな金属製の箱を取り出してそれを開いた。
箱の中にはボディピアス用のニードルが数本入っていて、1本取り上げるとそれを消毒し始める。
ニードルの見た目は、長くて太い針の様になっている。
「うそっ…それで何を…やだっ。許して!おれ、誰にも話したりしないからっ!」
「三月ぅ…お客様うるさいよぉ」
ニードルを目にした男は最後の抵抗に身体を動かすがきちんと拘束を施されているので上手く動かないようだった。
顔が恐怖に戦いているのが少しおかしかった。
「帽子屋この子は何したの?」
「ん?あぁ。こいつスパイらしいぞ」
スパイとは映画みたいな話だが、たまに好奇心旺盛なこの男みたいなのが倶楽部に忍び込んでくる。
帽子屋によくよく話を聞くと、この男はとある雑誌社の記者らしく、ここの顧客を追ってこの倶楽部の存在を知ったらしい。
潜入調査をしようとしたが、審査であぶり出されたようだ。
うちの倶楽部は信用第一だから審査が厳しいのに、好奇心は猫を殺すとはこの事でしょうね。
~♪
「帽子屋…電話鳴ってるわよ」
「あぁ、スマン」
帽子屋の白衣から電子音が熱気立った部屋の中に響く。
そもそもこの部屋に携帯はご法度なんだけど、帽子屋の電話は例外なのよね。
携帯を耳に当てて面倒そうに返事をしている帽子屋の声はボソボソと小声で男の叫び声のせいで聞こえない。
「おーい。三月?」
「なに~?もしかして中止?」
「なわけないだろ。乳首以外もアクセサリー着けろとよ」
「マジで!」
三月は帽子屋の言葉にはじめは不機嫌そうだったが、そうではないと分かると途端に心底嬉しそうに男に向き直った。
それに男は更に恐怖の表情を浮かべる。
帽子屋の電話には男についての情報が他の部署から入ってくる。
だから帽子屋の携帯は特殊な作りでこんな地下でも普通に繋がるのだ。
「じゃあ、お許しが出たことだしそろそろ本番といきますか」
「なにっ!?いぃ、やっ…」
三月は男のぺニスの根本をぎゅうと握り、マドラーに手をかけた。
ぐちゅん、ぐちゅ、ゴリゴリッ
「がっ、ぎぃ!ぐぁっ!」
三月がマドラーを激しく抜き差しする度に男の身体が面白い様に跳ね上がる。
少し離れたところに居ても男が尿道から激しく前立腺を刺激されているのが分かるし、水音も大きくなっていく。
「三月さーん?用意できたよぉ」
「おーし!ならいっきに引き抜くぞ!」
Jちゃんが左手で男の乳首をつまみ上げると、三月はマドラーの先端を掴み勢いよく引き抜いた。
「ぎっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
「ん~。いい声~」
ブシャーという噴射音と男の悲鳴と共に床に金色の水が撒き散らされる。
パシャパシャと勢いよく床に水溜ができていく。
ブツッ
その水音に掻き消されるように固いものが肉を貫通する音がした。
Jちゃんは素早い手付きで乳首にピアスを取り付けていく。
ブツッ
「んぎぃぃぃぃ」
流石に反対側のピアスを開ける際には痛みをダイレクトに感じたのか男の身体が再び跳ねる。
Jちゃんはそんなことはお構い無しにピアスを取り付けていく。
調教部屋だと奴隷達はこれから商品となるため局所麻酔を使って 施術を行うんだけれど、お茶会のお客様にはそんな配慮は要らない。
麻酔なんて生ぬるい優しさなどここでは無意味なのよ。
「ほらほら!まだ終わってないよ?」
「いやぁ!な゛に゛っ?」
三月は男が貫通の痛みに気を取られている間に尿道にカテーテルを差し込んでいた。
男はこれから何をされるのか分からなくて恐怖で小刻みにカタカタと震えている。
「沢山出した分、戻さなくちゃね☆」
「皮被りのオチンチンにぃストッパーしとくねぇ?」
三月がカテーテルの先端に漏斗を取り付ける。
Jちゃんも別のニードルを取り上げてぺニスを支え、余った皮を下に引き下ろした。
ブツッ
「ぎっ、あぁぁぁ…うぅ!いぎぃぃぃぃ」
Jちゃんが男のぺニスの裏筋にニードルを突き刺した。
男が痛みに強く目を瞑り、強く手を握った。
それによって爪が掌に食い込んでいるが、三月は男の様子を気にすることなくマイペースに漏斗へ何か液体を注いでいた。
シュワシュワと音がしていることから炭酸水だろうということがわかる。
膀胱へ直接注ぎ込まれる炭酸水に男の声が更に苦痛へと変わっていく。
「腹がぁぁぁぁ」
「次はぁ何処に開けますぅ?」
「そうだなぁ…」
「あぁぁぁぁ!」
男の叫びなど無いものの様に行為は進んでいく。
カテーテルが抜かれたぺニスへ三月はストッパーの様な器具を取り付けた。
Jちゃんはとりあえず今度はおへそにするようで消毒をはじめている。
「人間サーバーに改造するのとか面白そうだな」
「んぎぃぃぃぃ」
三月は玉を掴んで上下に揺すって膀胱の炭酸水を更に泡立てる様に刺激している。
男はあと少しで泡を吹いて意識を飛ばしてしまうかもしれないと思いながら、私はただずっとそれを眺めていた。
「んんんっ!」
「人間サーバーとかぁ三月さん悪趣味ぃ」
Jちゃんは滞りなくピアスを増やしていくが、当の男は口から泡を吹き気絶寸前になっている。
私の予想は当たっていたが、Jちゃんはクスクスと世間話でもしているみたいに三月と話していた。
その様子だけ見ていると、楽しく談笑しているだけにしか見えない。
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