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第4話

クスクスと笑い合っている三月とJちゃん。 二人の目の前に居る男はそれに恐怖して震えている。 「ねー。帽子屋?」 「ひっ!!」 「ん~。なんだぁ」 三月は後方に居る私達の方へ声をかける。 三月の大きな声に驚いた男の肩が跳ねあがったが、誰もその事を気にも止めない。 「“クッキー”使おうよ!」 「ん~。しかし、今“クッキー”切らしてるからちょっくら頼んでみるか」 三月が名案だと言わんばかりに帽子屋に提案した。 帽子屋はぽりぽりと頬を掻いた後、手に持ったままだった携帯でどこかに電話しはじめる。 私は何処に電話しているか予想はついていたけど、あえて口に出さずに横で傍観していた。 “クッキー”とは童話不思議の国のアリスに因んだ薬の名前なの。 童話の中で、アリスが Eat Me と書かれたクッキーを食べて巨大化したのをヒントにその薬を使うと使った箇所が肥大化するの。 開発部もなかなか洒落た名前をつけたものだわ。 「開発部ヘッドのクラブ様直々に持ってきてくれるんだとよ」 「あら。クラブちゃん直々とは何か他にも出来上がったのかもね」 この倶楽部には大きく分けて4つあるのだけれど、どのグループにもトランプの柄の名前がついているの。 スペードは管理、ダイヤは医療、クラブは開発部門なの。 因にハートというグループも当然あるのだけれど、そこは一人の女王様が仕切る女の園なのよ。 開発部はこの倶楽部の様々な物を研究開発していて、アダルトグッツや健康食品なんかも作っていて、一部一般流通していて大きな収入源なのよ。 そこのナンバーなしのクラブちゃんが直々に地下室に来るなんて、チーム内で何か新しい物が出来上がったのね。 「じゃあ、クラブが来るまで遊んでようか」 「んぐぐぐぅぅぅ」 「今何も薬を使ってないんだから、無茶すんなよ~」 帽子屋が一応釘をしているが、三月は早速聞いていないようだった。 見ていないうちにJちゃんはサクサクと作業を進めていたみたいで、使用済みのニードルが膿盆に何本か置かれている。 Jちゃんはニードルの再利用はせずに、穴を開ける場所に応じてニードルの太さを変えているのよね。 「後ろするの忘れてた。Jはもういいよ」 「はぁ~い。消毒したら終りぃ」 男をみると両方の乳首、お臍、ぺニスにピアスが施されていた。 ぺニスは裏筋や鈴口にもピアスが貫通していて、真っ赤に充血している。 乳首からはうっすらと血が出ていた。 「いや、Jいい…俺がしておくわ」 「そうですかぁ?帽子屋さんもぉ好きですねぇ」 乳首から滴る血を見た瞬間に帽子屋の目の色がさっと変わった。 帽子屋が病院で起こした事件とはこれが深く関係しているの。 帽子屋は血に異常なほど性的興奮を覚えるヘマトファリアと呼ばれる人種らしいのよね。 そのせいで患者に大ケガを負わせて医学会から追放になったんだけど、私に言わせれば今までよく我慢できたと思うわ。 まぁ、本人に言わせると何とか我慢していたんだけどあのとき爆発しちゃったんですって。 人間って不思議よね。 因にKちゃんに歯形や傷を付けているのは他でもないこの帽子屋なのよ。 まぁお互い幸せそうだしいいんだけど、程々にするように言わないとね。 「マ~マぁ。終わったよぉ」 「そうね。なら、私達はそろそろおいとましましょうか」 Jちゃんは私の白衣の袖を掴むと嬉しそうにすり寄ってくる。 この私にしか 懐かない猫みたいな仕草がたまらないわぁ。 思わず頬をすりすりと撫でてしまったら、Jちゃんったら私の手に顔を押し付けてくるのよ。 キュン死させる気なのかしら。 使用済みのニードルは後で消毒されてJちゃんのところに返ってくるので、Jちゃんは軽く荷物をまとめただけで帰れちゃうのよね。 「いたっ!!痛いぃぃぃぃ…やめっ、やめてぇぇ」 「帽子屋。私達そろそろ帰るわね」 「おー。今度ジェニー呼んでおいてくんねーか?こいつの身体に墨入れっからよ」 「了解~。お客様にも、Kちゃんにも!!程々にね」 帽子屋は男の乳首を潰しながら、染み出した血液を脱脂綿で拭いていく。 時折指に着く血を舐め凄く楽しそうに笑う。 一応検査をしているからと言って、血液を舐めるとは感染症の危険もあるのに、信じられないわ。 人の趣向も様々よね。 私がKちゃんの事を口にだすと、ヒラヒラと手を振って分かったという意思を示してくる。 あれは絶対分かってないわ。 「ほーい。そろそろストッパー抜くよ」 「うそ…い、嫌っ!いぎゃぁぁぁぁ」 ぶじゅっ、ぶじゃっ、ぶしゃぶしゃっ ストッパーが抜かれたぺニスからは壊れた蛇口の様に空気を大量に含んだ音と共に炭酸水が吹き出していた。 吐き出された炭酸水は勢いよく吹き出しかなり遠くまで飛んでいる。 「いっ、いふっ!」 「あはは。この刺激で逝っちゃってる!こいつ素質あるよ」 炭酸水に白濁したものが混じり、男が逝っているのが分かる。 確かにこれだけ酷いことをされて快楽を感じるとは相当に素質があるんでしょうね。 私は男の声をBGMにお茶会を後にする。 + 前室に戻って来ると、ちょうどクラブちゃんがチューちゃんを伴って入ってくるところだった。 チューちゃんとは3人いる地下室の住人の一人で“眠りネズミ”こと“ネム”。 常に眠そうな眠りネズミなんだけど、前職は麻酔科医で眠りネズミの名前にぴったりね。 でも私はネムではなくチューちゃんって呼んでるの。 その方が可愛いでしょ? 「あぁダイヤさん。いらしてたんですか」 「そうなの。Jちゃんのお誘いで久々に来たのよ」 「でしたら、丁度よかった。新作の器具が出来上がったので実験次第では調教に使えますよ」 「あら?これはな~に?」 クラブの手にはヘッドセットの様な器具とバイブの入った箱が握られていた。 「これは見たままなんですがヘッドセットです。映像を網膜に直接映し出すことで目を反らしても自動的に映像が目を追いかけるシステムなんですよ。しかも、上のストッパーにより瞼が閉じられない様な仕組みなんです」 「それはすごいわね。で、このバイブは?」 「これはマッサージ機を応用して作ったバイブです。従来のバイブでの振動とスイングに加え、叩く、揉むといった動きをします」 クラブちゃんは淡々と話しているけど、なかなか凄いものなんだろうとは分かったわ。 医療用語は得意だけど、メカニック的な事は少し苦手なのよね。 「ダイヤ…薬も新しくあるらしい…また来て」 「チューちゃんはしっかり起きなさいよ?」 「うん…」 チューちゃん普段は無口なんだけど、目を擦りながら私の言葉にうんうんと頷いている。 また何処かで眠りこけていたんでしょうね。 「使用の結果は後日書類にてお渡しします」 「そうしてちょうだい。私はこれで帰るわね」 「はい。お気をつけて」 「クラブちゃんもお仕事程々にね」 私は手を振りながらロッカーに向かった。 Jちゃんは私とクラブちゃんの話の途中で先にロッカーに向かったわ。 空気が読めて、可愛くて、優秀なんて本当に私は部下に恵まれているわね。 「マ~マ?」 「なぁに…Jちゃん?」 「今度ジェニーとぉ地下に来るんでしょ?なら今日はぁ、わたしがぁエスコートするぅ!」 ジェニーとはダイヤのQの子の名前なの。 Qはトランプでは12だからジェニーちゃんなのよ。 あの子の仕事は彫り師で、普段は別の支店で倶楽部全体の彫りやメンテナンスをしているの。 ただ、あの子は少しツンデレな所があって私に滅多に会えないからなのか会うと猫みたいにツンツンしてて面白いのよ。 調教の時は本当に楽しかったの…おっと、話が脱線しちゃったわね。 Jちゃんは帽子屋が私を介してジェニーちゃんを呼び出したのが気に入らなかったみたい。 だから、あまり着ない男物の服で私をエスコートするって言い出したのね。 もぉ、なんて可愛いのかしら。 「分かったわ。なら、私もドレスを着なくちゃね」 「ドレス!ママのドレス滅多に見れないからぁ楽しみぃ!」 Jちゃんは遂にぴょんぴょんと跳び跳ねて自分のロッカーまで行ってしまった。 私は普段お店に出るときでも裾の長い中華服を着てるの。 ちょっとおめかしするときは刺繍の凝ったデザインのものを着るんだけど、チャイナドレスは本当に特別な時しか着ないの。 でも、可愛い子がエスコートしてくれるって言うのなら特別におめかししないとね。 私はドレスに着替え、ウィッグを被ってメイクを軽く直す。 流石にドレスと言ってもスリットは浅めのものをものを選んだわ。 「用意できたよぉ?」 「あらあら。Jちゃんカッコイイわね」 JちゃんはダメージジーンズにぴったりしたTシャツの上からボーダーのパーカーを緩く着ていた。 しかし、パーカーはよく見るとフードに猫の耳がついているの。 「カッコイイけど、可愛いわね」 「ママ…」 Jちゃんにスススッと近付いて肩に手を回すと、Jちゃんは私を見上げて目を閉じてキスのおねだりをしてくる。 そんな可愛いおねだりにお答えしないわけがないじゃないの。 「んっ、んにゅ、んみゅ」 「Jちゃんは猫ちゃんみたいね」 私を誘惑する素敵な猫ちゃんね。 舌を絡めながら背中や足を撫でるとJちゃんの腕が首に回ってきてもっともっとって絡み付いてくるから私もついつい腰を屈めて、ジーンズのバックルを外して下着の中に指を滑り込ませた。 やわやわと前を弄ってあげると少し息が乱れてきて下半身が反応してくる。 私もそれが楽しくなって左手で玉を揉みながら右手は鈴口をクリクリと刺激してあげる。 そうするとJちゃんの腰がゆらゆらと揺れてパーカーについている尻尾も一緒に揺れる。 ぴったりとしたTシャツを押し上げるように主張している乳首が目に入ったので、一旦口を離す。 「ふぁ…」 「Jちゃんここで1回欲しい?」 Jちゃんのうっすら開いた口の回りは2人分の唾液で、てらてらと光っていた。 唇から覗く舌にはピアスが光っているのが見える。

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