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第2話

 カリ首へ舌をねちゃねちゃと這わせれば、後頭部をさらに強い力で掴まれた。 「っ、イクっ、おらぁ、全部飲めよ!」  ビクンと跳ねるペニスの感覚を、口の中で受けた。男の陰毛が、鼻先をくすぐる。 「うぶぶぶぶっぶぶっ」  不気味な音が、鼻から抜けた。  どくんどくんと勢いよく、喉の奥へ大量の精液がぶちまけられる。  ねばつく精液を飲み込むたびに、口膣は締まる。絞り取るように啜れば、ペニスはずるりと口の中から抜けていった。  混ざった唾液と精液が、唇の端から滴り落ちる。床に溜まったそれを、目の前の男が足先で示した。 「全部、飲めって、聞こえただろ?」  強い口調で言われ、唇が震える。床を舐めさせられるのは、これが初めてだ。  僕は奥歯を強く噛んだ。こんな屈辱を許せるものか――いや、そうだろうか。本当に屈辱だと思っているのか。だって、僕は興奮している。己のペニスの勃起を感じている。  大きく突き出した舌で、ぺちゃぺちゃと音を立て、床に溜まる汚い粘液を舐めあげたそのとき、後ろから腰を掴まれた。ペニスが、ゆっくりとアヌスに挿ってくる。 「っああ……ああぁ」 「見ろよ。こいつ、ちんぽ挿れられながら、精液舐めてるぜ。きったねぇ」  頬に唾を吐きつけられた。  目の前から男が消え、代わりに――智泰。この靴は、智泰がはいているものだ。一緒に買いに行ったのだから間違いない。美しい曲線と、艶のあるブラウン。  見上げたら、嘲るように笑う智泰と、目が合った。そんな表情をしていても、彼の爽やかな印象は崩れない。顔立ちが整っているからだろうか。  智泰は、ズボンや下着をわずかに下ろし、勃起したペニスを僕に差し出している。もう何度も見たペニスだ。亀頭へ皮がわずかに被っている。 「ほらよ。おまえの大好きな、大好きな、俺のちんぽだ」  それは、違う。僕は彼が好きだが、そういう意味で、ではない。しかし、喉は鳴る。唾液が口の中に湧いてしまう。  彼のペニスに頬を打たれた。鼻から息を吸えば、いやらしい匂いが届く。亀頭へぬちゃぬちゃ舌を這わせる。カウパーの味がした。しょっぱい。  顎を持ちあげられ、口を大きく開かされる。口内にペニスが挿ってくるとともに、アヌスにあるペニスが、奥の奥へ穿たれた。 「んんっ、んっんんっ」  涙は止まらない。大きな快楽が全身を貫く。鳥肌がぞくぞくと立ち、思考は蕩けそうだ。  前も、後ろも、ペニスに貫かれている。  さっきまで目の前にいた男は、いつの間にかまた戻ってきて、何かを僕の顔のそばで揺らした。熱く、焦げるような匂い。煙草だ。 「こいつの髪、燃やしていいか?」  口内にあるペニスが、ちゅぽん、と抜けた。 「あっぶね。おまえ、俺がしゃぶらせてんだからさ。びびったこいつに噛まれたら、たまらんだろ」 「悪りぃ、悪りぃ」  智泰と位置を代わり、人の悪い笑みを浮かべた男が、目の前にしゃがんだ。 「火のついた煙草、しゃぶってみろよ」  全身に暴れ狂っていた熱が、下半身へと集まってきた。  歯はカタカタと鳴る。 「い、いや。嫌だ。怖い、怖いっあああっ!!」  腰をズンっ、と打ちつけられ、目の前に火花がまたたく。  たまらない。もう、留められない。エクスタシーの嵐をいや応なく巻きこされ、頭の芯が痺れた。  気が遠くなりそうな射精の快楽。勝手にびくびく跳ねる身体。それでも、アヌスを掻き回してくる動きはやまない。 「あっ、ぃっ、イッ、イッてるっ、ああっ、駄目っ、あっ、ひぃぃっ!!」  きゅうっ、とアヌスを締めつければ、ピストンはやんだ。ペニスの脈打ちを、中に感じる。 「くそっ、いきなり締めるから出ちまった」 「っはははっ、ダセェ。早漏かよ!」 「煩せぇ。まだ硬いからな。おまえはさっさと、煙草でもしゃぶらせとけ」  がむしゃらに腰を打ちつけられた。  目の前には煙草の火が揺れており、煙が目にしみる。 「ほぉら。秋人ちゃぁん。これ、鎮火させな。飲み込むなよぉ?」  抵抗なんてできない。口を大きく開いて突き出した舌に、強い苦味を感じた。じゅうう、と、身の毛のよだつ音が聞こえてくる。舌が抉れるような痛みを覚え、意識が遠のく。思考が白んでゆく。  最後に見たのは、おぞましいほどにきれいな、智泰の笑みだった。

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