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秘密3

俺はいつも通学に使うバッグを持ってもう一度最寄りの駅向かう。 ICカードを使ってホームに行き電車を待つ。 バカラは俺に監視をつけると言ったが、 キョロキョロと周りを見渡してみるがそれらしき人物は見当たらない。 ~♪ 電車がホームに入ってくる音楽が流れたので、俺はぼんやりと目の前に電車が止まるのを待っていた。 ラッシュの時間はとうに過ぎているのに電車に乗り込むと意外に混んでいる。 俺はゆっくりと移動して乗り込んだドアとは反対側のドア側に立つ。 俺が今いる方のドアは大学の最寄り駅まで開閉しないので、混んでいる時はドア付近が俺の定位置だ。 「…??」 電車が2駅ほど進んだあたりで、俺は身体に異変を感じた。 気のせいでなければ尻を触られているような感覚がある。 後ろを振り向くが、他の乗客はそれぞれ別の方向をむいていた。 やはり気のせいだったのかと前を向くが、やはり尻を触られている。 女の子と間違えているのだろうか。 はじめは軽く触る程度だったが、その手はどんどん大胆になっていく。 「…っ!」 臀から内腿を撫でていた手は前に回り、股間を揉み込むような動きに変わる。 後ろ手でその手を退けようとするが、びくともしない。 「や、やめろ…」 回りに気付かれない様に、小さな声で抵抗するが手がゆるむ気配はない。 「や、やだ…」 持っていた鞄で前を押さえるが何の抵抗にもならず、あっさりと前をくつろげられてしまった。 その後手がスラックスの中に入り込み今度は下着の上から股間をまさぐられる。 薄い布の上からの刺激にずっとお預けをくらっていた俺にはひとたまりもなかった。 「こんなに前を膨らませていやらしいな」 「ひっ…」 耳元に息を吹き掛けられながら声をかけられ肩が跳ねる。 その声はどこか聞いたことのあるような不思議な声色をしていた。 「ほら染みてきたぞ」 「う、そ…」 後ろからの声に素直に下半身に目をやってしまった。 グレーのボクサータイプの下着はテントを張り頂点の部分は色が濃くなっていた。 すぐにゴツゴツとした手が先端部分を布越しにくるくると撫でるのが見える。 「糸引くほど濡らして随分淫乱なんだな」 「なっ!!」 痴漢の手が目の前にぬっと差し出された。 確かに痴漢の親指と人差し指は銀糸で繋がっており、俺は否定しようと思ったがそれを見てしまえば羞恥で頬がさっと熱くなる。 「触ら…なっ!んぶっ!」 「大きな声を出すと回りに気付かれるぞ?それでもいいのか?」 俺の先走りの着いた指をいきなり口に入れられ声を出さないようにされる。 気持ち悪くてその手を思いきり噛むが、痴漢には効いていないみたいで逆に指を喉奥に押し込まれてえずく。 「っ!!」 「ほぉ…」 痴漢の手が遂に臀の割れ目を伝って密部に近づいてきた。 それに俺はぎくりとして身体が硬直する。 「こんなもの挿入てるなんて、相当“スキモノ”なんだな」 「ひが…ふ…!」 後ろの孔にはアナルプラグが入っており、プラグを指先でコンコンとノックされた。 耳元で揶揄する様にクスクスと笑われ、頭の中が真っ白になる。 悔しさで目の前が涙で霞む。 「んっ…ふっ」 咥内の指で舌をなぞられ、気持ち悪いと思っているはずなのに反射的に指に舌を絡ませてしまう。 俺ははっと我に返るがもう遅かった。 「何が違うんだ?アナルにはプラグをぶっさして、口に突っ込まれた指を物欲しそうにしゃぶってる奴の何処がまともなんだ?」 「んぅ、んっ、んっ!!」 「おにーさん楽しそうな事してるね。俺もまぜてよ…」 痴漢にバカにされていると、後ろから別の声が聞こえシャツの裾部分から別の手が侵入してくる。 スルスルと胸まで上がってきた手は、胸の飾りをきゅっと挟み込む。 その後ぎゅっと押し潰されたり、ピンピンと弾くように弄ばれる。 「ひゃめ…」 這いまわる手から必死に逃げようと身体をよじるが、まったく身動きがとれない。 俺はいきなりの事に、パニックになる。 気が付けば身体をまさぐる手はどんどんと増えていて、首筋や腹、胸は左右別々に弄られていた。 「ふっ…」 遂に手はパンツの中に侵入し、直接的な刺激に身体が震える。 尻たぶを左右に拡げられアナルプラグが入っている孔の周りをつぅと撫でられた。 少し冷たい痴漢の手にぞくぞくとしたものが背筋を駆け抜け、久々の刺激に期待できゅぅっと孔を締め付けてしまう。 アナルプラグに手がかけられた瞬間…。 “次は○○~。○○~。○○駅でございます” 大学の最寄り駅に到着するアナウンスが流れる。 その瞬間、身体をまさぐっていた手が嘘の様にすぅと退いていく。 「ふぇ?」 「残念だけど今日はここまでだ。会えたらまた遊んでやるぜ…淫乱ちゃん♪」 他の乗客に押し出されるようにホームに出る瞬間そう声を掛けられる。 驚いて後ろを振り向いた瞬間、扉が締まりすぐに電車はホームを離れていった。 散々煽られた身体は直ぐに動ける状況ではなく、ホームのベンチで鎮まるのを待つ事にした。 「司?」 「えっ?」 「どうした?具合でも悪いのか?」 持っていた鞄を膝の上に乗せて下半身を隠しつつ俯き加減でベンチで休んでいると、急に声をかけられる。 「:和哉(かずや)!?」 「先週丸々休んでたし…顔もなんだか赤いからまだ具合悪いんじゃないのか?」 心配そうに近付いてきたのは、同じゼミで友人の:波多野 和哉(はたの かずや)だった。 しゃがみこんで顔を覗きこまれる。 「だ、大丈夫だから…」 「ちょっと待ってて?」 俺が戸惑っていると和哉がすくっと立ち上がり走って何処かに消えてしまう。 和哉とは2年の頃に同じ授業を選択してからの仲だ。 背がスラッと高く、肩もガッチリとした爽やかなスポーツマンといった風貌なのだが、見た目とは裏腹に少しのんびりしたところがある。 そのギャップもあり、女子生徒からは密かに人気があるらしい。 「ほら、これ飲める?」 ぱたぱたと急いで戻って来た和哉の手には水が入ったボトルが握られていた。 そのキャップをさりげなく目の前で開け、すっと差し出す。 こういうさりげない優しさがモテる理由かもしれないなとぼんやり思った。 「あ、サンキュ」 俺は和哉の好意に甘え、ボトルを受け取る。 ペットボトルのヒヤッとした冷たさに、少し冷静になってきた。 「…!」 ペットボトルに口をつけ、いざ水を飲もうと思った矢先にバカラから口移しで飲まされた水の温度を思い出してしまって動きが止まる。 これが世に言うフラッシュバックというものかもしれない。 「おい…本当に大丈夫か?」 「う、うん!大丈夫だから行こうか!」 俺はペットボトルのキャップを締めて急いで立ち上がる。 そのまま足早にホームを後にした。 先程とは別の意味で頬が熱い。 + 「んっ、んぐっ、んっ」 「んんんんんんんっ!」 えっと…俺は何故に友人のこんな場面に遭遇しているのだろうか。 俺は目の前の光景を信じられない思いでそれをぼんやり眺めていた。 「うるさいよ。君が逃げようとしたから悪いんでしょ?あ、司ごめん…ほったらかしだったね」 和哉が口元を唾液や精液等の液体で汚しながらこちらに振り向く。 その顔は普段一緒に居るときの顔となんら変わらない。 「イエ…オレノコトハ、オキヅカイナク」 「そう?」 俺は和哉にそう答えるしかなかった。 俺は必死に何故こんな事になったのかを思い出す。 学校は10日ぶりだったが滞りなく終わった。 うん…そこまでは良かったと思う。 ここに来る迄の時系列を俺は必死で思い出そうと頭をフル回転させる。 「司…この前の言ってた卒論の資料が手に入ったんだけど、うちに来ない?バイト休みだろ?」 「バ…イト…うん」 授業が終わり、隣に座っていた和哉に声をかけられる。 バイトは無断で休んだからもしかしたらクビになってるかもしれない。 後で店に挨拶に行こうと思いつつ返事をする。 「無断で休んだって気にしてる?連絡がとれない間は俺が代わりに出てたから気にしないで大丈夫だぞ」 「え?マジで!凄い助かったよありがとう」 俺が休んだ事を気にしていると分かったのか、さりげなくフォローをしてくれる。 今のバイトも元々は和哉に特殊な職場だけど給料はいいし危険な事は絶対ないからと紹介してもらったものだ。 本当にいい友達が居てくれて良かったなと密かに感動してしまった。 「どうした?」 「いや、なんでもない」 にかっと人好きしそうな笑みを浮かべた和哉に釣られて俺も和哉に笑いかけた。

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