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絶望
side浩介
目の前のダイヤは、肩まで綺麗に切り揃えられた髪を指で遊びながらニヤニヤとこちらを見ていた。
「この前はたっぷり気持ちよくなってくれたかしら?」
「くっ…」
俺は屈辱的な気持ちに、ダイヤから顔を反らした。
ここに連れて来られ、この薄暗い部屋に閉じ込められてどれ位の時間が経ったのか分からない。
この前はうっかり快楽に負けてダイヤに醜態をさらしてしまった事が今更ながらに恥ずかしさや自分に対しての嫌悪感が込み上げてくる。
「身体の方はかなり仕上がってきたみたいだけど、これから貴方には奴隷としてのマナーや立ち居振舞いをきっちり教えていくわね」
「・・・・」
予想だにしなかった言葉に、勢いよくダイヤを見る。
俺は相変わらず笑顔を絶やさないダイヤに恐怖を感じていた。
しかし、こんな時代に奴隷とは何事だろうか。
目が覚めてから信じられない事の連続で頭が正常に動いていない。
身体はいつのまにか自分の身体では無いように快楽に弱く作り替えられてしまっているし、その過程の映像まで見せられて屈辱以外の何物でもなかった。
挙げ句の果てには男なのにぼ、母乳まで出るように肉体を改造されてしまっている。
それなのに、更に奴隷になれと言ってきてこいつらに一体何の権利があって俺はこんな目に合っているのだろうか。
「あらあらそんなに睨んだって状況は変わらないし、反抗しても無駄だってこの前身に染みてよく分かったわよね?」
そうなのだ。
俺は現在またしても手足を縛られ、今度はバスルームに転がされている。
無理矢理バスルームに連れてこられたと思ったら手には手錠をかけられ、足は片足づつ縄で縛られていた。
「改めましてCLUB Aliceへようこそ。歓迎するわ…今村浩介さん」
「なんで俺の名前を…」
「この前は私が遅れてきたのもあるし、貴方も興奮してたから話してないわねぇ?」
わざとだろうがやうやうしく頭をさげたダイヤと名乗る派手なオカマに名前を呼ばれた事に今更ながらに驚いた。
そんな俺にダイヤは考え込んだ様子で浴槽の縁に腰かけ話をはじめる。
「ここは会員制の倶楽部なの…」
俺に説明をはじめたダイヤの話ではここは会員制の高級SM倶楽部で、俺はとある人物の依頼でここに拉致されてきたそうだ。
その依頼主が俺の“ご主人様”となって俺を飼うのだそうだ。
あまりにも現実味のない話に俺はポカンと呆けた顔でダイヤの話を聞いていた。
話を聞きつつ、今更ながらに司はどうしたのだろうかと焦りにも似た感情が込み上げてくる。
あの日電話口の様子では、もしかしたら司もこの頭のおかしい奴らに拉致されたのではないだろうかと胸騒ぎがしたのだ。
「つ、司は…息子はどうした!?」
「あら、やっぱり大切な一人息子のことが気になるわよねぇ。はじめは貴方一人の予定だけだったみたいなんだけど…家族2人だと貴方を拉致した後息子さんが騒ぐと色々と問題が起こるでしょ?」
嫌な予感から額からは汗がどっと吹き出し、頬を伝う。
しかし、俺は楽しそうに話すダイヤの言葉をじっと待った。
「だから親子仲良く…こちらの倶楽部にご招待したわけ」
にっこりと笑いながら言い放った無慈悲な言葉に、俺は目の前が真っ暗になった気がした。
そんな俺を見るダイヤは相変わらず凄く楽しそうで、俺は何をしても逃げられないのだと今更ながらに自覚してしまった。
「あら?その様子だと、先に観賞会の方が良かったかしら」
ダイヤは目の前で手を振って俺の反応が無いかを見ているが、俺はそれに対して放心状態で微動だにしなかった。
「まぁいいわ…せっかく準備したんだから先にこっちを教えるわね」
ダイヤは浴槽の縁から勢いよく立ち上がると、袖をまくりながら此方に近付いてくるのを俺はぼんやり眺めていた。
俺の横にはまたしても様々な器具が乗ったワゴンが置かれており、乗っている器具の説明をダイヤが細かくしていく。
「これはポンプ式ね。洗面器に水を張って使うの。こっちは、ディルドーとポンプ式が一体になったものね」
ワゴンから取り上げ目の前に出されたのはゴムで出来たホースの途中に膨らみがあるものと、ぺニスを模したものにポンプがついたものだった。
「こっちが自分でするには一般的かしら?」
次に取り出したのが乳白色のプラスチック製のタンクに、カテーテルが着いたものだった。
一般的と言われても俺には何に使うものなのかさっぱりと分からない。
「あぁ、でもビジュアル的にはこっちが有名かしらね」
次に取り上げたのが大きな針のない注射器のようなものだった。
そして俺は漸く何の説明を受けていたのか理解した。
「あら?やっと分かったの?これからは毎日自分で準備するのよ?」
ダイヤは至極当然の様に言っているが、俺が説明を受けていたのは、腸内洗浄のするための器具たちだった。
俺は血の気が引き拘束されているなりに身体を動かして後ずさるが、やはりそんなことは許されなかった。
「今日は私がするけど、次からは自分で準備するのよ?器具を色々説明したけど、まずはてっとりばやくシャワ浣からはじめましょうか」
そう言うと、シャワーの先端を慣れた手つきで外し細い管を装着している。
ワゴンからローションを取り上げたかと思うと、細い管の先端に塗っていく。
「つめたっ!」
「はいはい。暴れな~い☆」
ダイヤはしゃがみこむと、浴槽に背中を預けた状態の俺のアナルに指に残ったローションを擦り付ける。
そのまま手に持っていた管を遠慮なく挿入してきたが、細い管は金属で出来ておりヒヤリと冷たかった。
ダイヤの行動が早かったこともあり、俺はろくな抵抗も出来ないままなすがままの状態だった。
「待て!やっ!!」
俺の制止など無かった様にシャワーのコックを捻ると、当然ながら腹に水が入ってくる。
「つめ、あぁぁぁぁぁ、や、とめ、あちゅい!おゆっ、あついぃぃ!!」
はじめは冷たかった水もどんどんと温度が上がり温かいものになると、温度差でかなり熱く感じて悶絶してしまう。
どんどんと腹に水がたまってきて、腹が少し張ってくるのが見えた。
「何処まで入るか挑戦しましょ」
「えっ?や、やめ!みず!みずを止めぇぇぇ」
ブジュゥゥゥゥゥ
ホースからは水の排出音が無慈悲に響き、俺の腹はどんどん膨らんでいく。
「はっ、あっ、あぁ」
「やっぱりあんまり入らないわねぇ」
ダイヤは少し残念そうに俺の腹を撫でる。手が触れたところからぞわぞわと悪寒が這い上がってくる。
アナルからは少しづつ受け止めきれなかった水が溢れ、もう限界が近かった。
「み、みじゅ…みじゅを…とめ…腹が…」
「止めないし、ここで出せばいいじゃない」
「い、いや…これ、はずしてぇ」
「だめよぉ」
なんとか最後の理性と力を振り絞ってアナルに力を入れ、ズキズキとする腹の痛みに縄から抜け出そうと足を動かす。
しかし、ダイヤはうふふふと笑いながら腹に手を掛けてきたのでこの先されるであろう事に俺は一気に血の気が引いた。
「いやぁぁぁぉぁぁ!!」
腹を強く押されれば、当然ながらその刺激で腹の中の水が逆流してくる。
空気を含んだ下品な水音に、普通なら羞恥を感じるのだが腹部の痛みとそれと同時に快楽にも似た解放感に何も考えられなかった。
「あ、あっ、はぁ、あぁ」
「休んでる暇は無いわよ?出すものが無くても、今日で使い方を全部覚えてもらうんだからね」
一回の洗浄で体力も気力も消耗してしまい、これが何回も続くのかと思うと目の前が真っ暗になる。
「もう、無理…やめ、もうやめ…」
「孔もふやけちゃったわね」
何度も弄ばれたアナルは水でふやけ、パクパクと物欲しげに収縮しているし、時折胎内に残った水が収縮に合わせてピュッと吹き出してくる。
浴室の床は何度も水を流したお陰でそこまで汚れていないが、独特の熱気に包まれていた。
ダイヤはくちゅくちゅと浅いところを指で弄んでいたかと思うと、台車から金属製の器具を取りあげた。
「は~い。力抜いてるのよ~」
「つ…めたっいぃぃ」
その器具がするっと挿れられると、キリキリとネジを巻くような音と共にアナルに違和感を感じる。
中からは何か熱い液体がどろりと逆流してくる様な感覚に、再び背中がぞくりとした。
「あら。前立腺が盛上ってきてるわね。弄ってほしかったのかしら?」
医者の様にペンライトを片手に腹の中を覗くダイヤ。
あちこち観察され、急に羞恥心が沸き上がってくる。
「みにゃ…いで」
「あら。言葉もだいぶ可愛くなってきたわね」
俺は鼻をぐずぐずと言わせながら懇願するが、ダイヤはやめる気配はない。
ヴィィィ
「え?あっ、あぁぁぁぁ」
ダイヤが棒の先端にコブの様なローターがついた玩具を取りだし、それを腹側のある一点に押し付けられた。
その刺激に脳天が痺れるような快感が押し寄せてきて頭が真っ白になる。
「なに?何かくるぅ!とめて!とめへぇぇ」
指先がピンっと伸びて、背中から悪寒に似た快楽がぞわぞわと駆けあがってくる。
堰を切った様に透明な液体がとめどなくぺニスから溢れ、胸からも母乳が噴き出してきた。
「あら…潮吹き?母乳まで出ちゃって…いい感じね」
「ふぁぁ、いっ、くひゅっ」
「ん、膣もいい感じでうねってるし」
身体が断続的に痙攣しアナルがぎゅぅっと収縮するが、器具のせいで閉じることができない。
「もうちょっとかしら?」
「んあぁぁぁぁぉ」
ヴィィ、ジッ、ビィィィ
震動が強くなると、身体もそれに比例して痙攣が激しくなる。
俺は声を押さえる事もできずにその刺激に翻弄される事しかできない。
「んぁ、んひっ、うぎぃぃぃぃ」
いきすぎた快感に、目の前がチカチカとしてとしてくる。
背中が大きく震えた後、力が入っていた手足がだらりと力なくタイルの上に落ちる。
「次からは挿れただけで逝けるようになるわね」
「はぁ、はぁ、あう」
どんどん作り替えられていく身体に恐怖を感じながら俺はここで意識を手放した。
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