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真相3

「司ぁ?お迎えがきましたよぉ?」 なんだか笑いを堪えた様な声が聞こえ、身体が揺さぶられる。 その刺激でゆっくりと目を開けると龍二の頭が視界に入った。 「ん~?むかぇ?」 「そう!これ持って帰りな」 眠い目を擦って起き上がると、あれよあれよという間に玄関まで追いやられ食事の載ったお盆を持たされていた。 「着替えは後から持っていくから!」 「は?あとから?」 全てが急すぎて意味が分からないうちに扉が閉まってしまい、その後ご丁寧に鍵の閉まるガチャンという音までした。 取り合えず追い出される様に部屋の前に出てはみたものの、迎えが来てると言うが肝心の迎えの人物が見当たらない。 にゃ~お 足元から猫の鳴き声がする。 足元を見ると綺麗な毛並みの猫が一匹いて、こちらを見て行儀よく座っていた。 もしかしてこの猫が迎えではないだろうなと見ていると、猫は俺を振り向きながら階段を登っていってしまう。 ついてこいと言わんばかりに待っている猫に、やれやれと思いつつ着いていくことにする。 ひとつ上のフロアは入り口が一ヶ所しかなかった。 猫はその一ヶ所しかない扉を、カリカリと触って開けろと言っているようだ。 「ここを開ければいいの?」 にゃー! 猫に話しかけるとはバカバカしいと思ったが、きちんと返事をする猫に俺は変に感動してしまう。 開けろと言われても、鍵も何も持っていない。 一応扉に手をかけてみると、カチャンと鍵が開いた音がする。 「えっ!なんで?」 おそるおそる扉を引くと、すんなり開いた。 猫はするっとその隙間から部屋に入り込み俺が入ってくるのを待っている。 俺は躊躇いつつ中に入ると、猫は今度は俺の事など気にせずトコトコと中に進んで行ってしまう。 慌てて猫に着いて進んでいくと、広いリビングダイニングがひろがっており俺はそれに唖然としてしまう。 大きなテーブルの上に和哉から持たされた食事を一旦置くと俺を先導してきた猫が足元によってきた。 「案内してもらったみたいでありがとう」 にゃおん 俺の言葉に猫は誇らしげに鳴いた様な気がする。 しゃがんだ俺の手に頭を擦りつける猫は、よくみると首輪をしていた。 ネームタグの様なプレートを見ると“ダイナ”と書いてあった。 「お前、ダイナっていうのか…」 また頭を撫でようとすると、今度はするりと手をすり抜けていった。 気まぐれな生き物だとは聞いていたが、本当に気分屋のようだ。 「おいっ、ちょっと!」 また何処かに向かうダイナを追いかけるとある部屋の前でまたしても止まって、前足でカリカリと扉を開けろと催促する。 勝手に見知らぬ人の部屋に入った事にも戸惑っているのに、勝手に何処でも入っていいものだろうか。 しかし、床を何かが叩いている振動が足の裏に伝わってくる。 にゃー! 足元でダイナが、不機嫌そうに尻尾で床を叩いている。 その目は早く開けろよと物語っていている。 「はぁ…失礼しまーす」 このまま渋ると引っ掛かれたり噛み付かれたりしそうだったので、俺は小さく声をかけ渋々ドアを開ける。 玄関では率先して中に入っていったダイナは俺を少し先導しつつも直ぐに引き返していく。 それを不思議に思いつつ、部屋の中に目を向けると大きなベッドが置いてあることから寝室と分かる。 そこに引き寄せられる様にキングサイズより大きなクイーンサイズのベッドに近付くと、よく知った人物が寝ていた。 ダイナはこの為に俺を迎えにきたのだろうなと直感で分かった。 「すぅ」 静かに寝息をたてているバカラは、普段オールバックにしているロマンスグレーの髪は下ろされ、髪が頬まで垂れてきている。 短い間だが、いつもきちんと髪を整えているバカラの髪が下りているのを見たことがなかったので俺は物珍しくてそれを間近で見ようとベッドに乗り上げ近くに寄る。 流石に高いベッドだからなのか、俺が乗ったくらいでは少し揺れる程度で軋む音さえしなかった。 「えっ?わっ、わぁ!」 俺がバカラににじり寄ると、チョコレート色の腕がぬっと延びてきて俺を布団の中に引きずり込んだ。 「おかえり。私の子猫ちゃん」 バカラ独特のセクシーな声を耳元で囁かれるとそれだけで俺は肌が粟立った。 やはりこの人と居ると色々恥ずかしい。 「やっと、私の腕の中に帰ってきてくれたね。昨日の学校はどうだった?」 「あ、あの…普通…でした」 「そうか…少しやんちゃな仔犬くんの躾も手伝って大変だったね」 「あっ…えっと」 バカラが言っているのは龍二の事だろうとすぐに分かった。 和哉は監視役と言うだけあって、バカラに色々と報告をしていたのだろう。 俺が返事に困っているとバカラが普段使っている香水の香りがしないことに気が付いた。 抱き込まれているのを良いことに、首元に鼻を押し付ける。 「ふふふ…私の子猫ちゃんは何に興味があるのかな?」 「急にご、ごめんなさい!」 俺は、はっとして身体を離そうと思うがバカラの手は緩むことがなく抱き込まれたままだ。 「それで、私の首に何かあるのかな?それとも痕でも付けてくれるのかい?」 「うっ…」 バチーンと音がしそうな程のウィンクを間近でされると恥ずかしくなって口ごもってしまう。 頬まで熱くなってきたのをバカラが見ている視線まで感じて更に恥ずかしい。 俺は、この人がご主人さまとやらになって本当に大丈夫なんだろうか。 もう話すだけでもいちいち顔が赤くなるし、頭が真っ白になって言葉も上手く出てこない。 まるで好きな人の前で上手く話せない小学生の様で、それも余計に恥ずかしい。 「うん?何でも言ってごらん?」 「いや…あの…いつもしてる香水の匂いがしないなぁと…おも…いまして」 言葉にすると随分と恥ずかしい事を言ってしまったのではないかと気が付いてどんどん声が尻すぼまりになってしまった。 バカラは、いつもはムスクの様な少しワイルドな香りがするのだが、今はメープルシロップの様な香ばしいのに少し甘い香りがしている。 いつも風呂あがりにも香水を少し使用してるので、嗅いだことのないバカラ本来の香りに思わず興味が湧いて首元に顔を埋めてしまったのだが、これは予想以上に恥ずかしい事をしてしまったみたいだ。 「あぁ。昨日は少し帰ってくるのが遅くてね…そのまま寝てしまったんだが、子猫ちゃんがマーキングしてくるとは流石に思わなかったよ」 「マーキング…えぁ!」 俺が羞恥心で死にそうになっていると、バカラは思いの外嬉しそうに俺を包んでいる手に力を込める。 マーキングと言われ、頭に疑問符が浮かぶ。 全く身に覚えが無かったが、バカラは首元にすり寄った事をマーキングと捉えたらしい。 そんな事を言われるとは思っていなかったので流石に狼狽えてしまって何か言い返そうにと上手く言葉が出てこない。 「さあ、子猫ちゃんにマーキングしてもらったところで…私も久々に子猫ちゃんにマーキングしてあげようかな」 「んっ…」 言っている意味が分からずバカラを見上げると、顔がどんどんと近付いてくる。 思わず目をぎゅっと瞑ってしまったが、ちょんっと唇が触れたところからぞわっと肌が粟立った。 「ふぁ、んちゅ」 舌先でちょんちょんと唇をつつかれると自然と口を開けてバカラの舌を口内に迎え入れた。 実は毎日、頬などには挨拶程度にキスをしてもらっていたのだが唇同士を合わせたのは久々だった。 「んっ、んっ、んむっ」 「ふふふ。そんなに焦らなくても沢山してあげるよ」 我を忘れて舌を絡ませ、ヌルヌルとしている舌を追いかける俺のあまりの余裕の無さを小さく笑われてしまう。 「ふぁぁぁ」 バカラの大きな手が、俺の耳たぶをソフトタッチで触ってくる。 その刺激に弱い俺は、バカラのシルクのパジャマをギューっと握りしめていた。 パジャマはサラサラしていて、生地が指の間をスルスルと逃げていく。 このパジャマつるつるしてるなぁと場違いな事を頭の隅で思った。 「えっ!あ??」 「おっと。1本じゃ足りなかったかな?」 いつの間にかバカラの腕がズボンに侵入してきて、孔の上を指でなぞられたかと思うと、アナルには指が1本侵入してきて膣をぐにぐにと探られる。 ズボンの中からはくちゅくちゅと小さく水音がしはじめた。 「昨日はここは触られなかったのかな?ん?」 「えぁっ!少し…」 「少し?どうしたのかな?」 「ゆび…増えて…あっ、おも、玩具を入れて…」 耳元で囁かれながら指がどんどん増えていき、中をバラバラに擦られる。 もう片方の手は服の上から乳首を押し潰している。 「玩具を入れられてどうしたんだい?」 「りゅう…龍二に挿入しまし…た」 「仔犬くんの膣はどうだったんだい?あぁ…はじめてだったね」 「んっ、ぐにゅぐにゅしてて、あっ、温かくて…」 そう、実はあれが人生はじめての挿入だったのだ。 つまり龍二で童貞を卒業したことになる。 バカラが乳首を服の上から摘まむと、服越しのもどかしさに手に力が入り更にパジャマを強く握る。 何で俺がはじめてだって知っているのかと言うことはその時は抜け落ちていたが、とりあえずバカラにそんな事を知られて居ると言うことが妙に恥ずかしかった。 「バカラ…さっ!!」 「ん?子猫ちゃんどうしたのかな?」 全てがもどかしくてバカラを呼ぶとバカラが顔を近付けてきてくれる。 俺は本物の猫の様にバカラの頬に頭を擦り付け、勢いよく唇を奪った。 はじめはちゅっちゅとバードキスを繰り返していたが、バカラがうっすらと口を開けてくれたので、それに誘われる様に舌を絡ませた。

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