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第2話

 そんな不可思議な体を持つ大神だが、今はある人間に心を奪われている。  同じ幼稚園教諭の宇里 柊(うさと しゅう)先生だ。大柄でのっそりとした大神と違い、細くしなやかな体躯に神様が一つ一つ丁寧に作りましたと言ってもおかしくないくらいの美貌の持ち主。同じ男とは思えない麗しさに見る人がすべてため息をつく。  天窓から差し込む光のスポットライトを浴びてその真ん中にたたずむ柊先生は、まるで絵画から抜け出した天使のようだ、と大神は目をハートにして見つめ続けてしまう。  魔物が天使に恋い焦がれるなんてどんな冗談だよ、と自らツッコミつつも彼から目が離せないのだ。  その柊先生は柔らかな光の中、自らが内側から発光しているかのように輝き低く穏やかな声色で絵本の読み聞かせをしている。なんて夢のような光景。  大神はうっとりとその姿に酔いしれ、危うく尻尾を出してしまいかけ慌てて自分の太ももをつねった。油断するとすぐこうだ。あぶないあぶない。  ヒトとも違い、狼にもなれない中途半端な生き物。いまはこうやってヒトの身として平穏に暮らせる術を身に着けたが、満月の日や死者や魔物が闊歩するハロウィンの日は要注意だ。油断するとすぐに化けの皮がはがれそうになる。  そう。満月も過ぎたばかりのこんな日は特に危ない。

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