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第2話
スマホを確認するが、何処かへ出掛けている等という連絡はない。仕事から帰っていないわけでもない。というのも佑月の職場までは、須藤の部下である滝川に送迎をさせている。そのため、佑月の帰宅時間は必ず須藤に伝えられているのだ。
とりあえず佑月のスマホに電話をしてみるかと須藤がスマホを耳に当てた時、突然肩を叩かれた。人の気配を全く感じなかった須藤は少し驚くことになった。どんな気配でも感じるという、人間離れしたスキルを持っている須藤の自信が揺るいだ瞬間だ。
振り向くとそこには、焦がれる相手の姿があった。
「佑月……何処にいたんだ」
驚かされはしたが佑月への渇望が勝り、抱きしめようと佑月の腰に腕を回した須藤だったが、直ぐにその顔が怪訝に歪む。
「お前、なんだその目」
「目?」
僅かに小首を傾げる佑月にむしゃぶりつきたい衝動に駆られたが、違和感が拭えないことの方がそれに勝った。
「あぁ……。赤い」
充血しているという意味でなく、虹彩が赤いのだ。まるで鮮血に染まった赤のようで、佑月の白い肌に更に栄えて須藤の目に映った。
「目が赤いの変? 普通だと思うよ」
妖艶に微笑んだ佑月の唇が僅かに開いたとき、そこから覗く鋭利に尖った白いものが見え、更に須藤の眉間のシワは深くなった。
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