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 佑月もせっせと笑顔で給仕に勤しむ。この顔で笑顔はかなり恐ろしいものがあるが、ハロウィンという催しのためにみな佑月の姿に賛辞を送ってくれている。  その時、仮装はしておらず正装姿の三十代と思しき男が佑月へと身を寄せてきた。 「君の足、とても綺麗だね。この後一緒にどう?」  しかも馴れ馴れしく佑月の腰に腕を回してくる。自分は絶対に断られないという自信に満ち溢れているのが分かる。確かに女にモテそうな甘い顔立ちをしている。佑月はやんわりとその腕を外し、代わりにシャンパングラスを手渡す。 「お誘い嬉しいですが、僕は男ですよ?」  敢えていつもより低い声で言うと、男は一瞬驚いた様子を見せた。だが直ぐに笑みを浮かべ、再び腰に腕を巻き付けて佑月を引き寄せた。 「男でもいいよ。あんたなんかエロいし、たまんねぇから」 「困ります。お客様」  佑月が身を捩った時、周囲にどよめきが起きた。何事かと周囲を窺う佑月の腰から男の腕が外れる。 「あの男って……」  何か信じられないものを見たかのように、男の目が驚愕に見開かれる。佑月は首を傾げながら男の視線を辿る。 (え!?)  佑月は咄嗟に男の陰に隠れて、それからそっとその場を離れていく。その間佑月の心臓は忙しなく胸を打つ。 (嘘だろ……。ヤバい)  見つからないようにと佑月は人混みの中に紛れていくが、そこではたと佑月は立ち止まった。  

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