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⑦
「ご無礼を承知で申し上げますが、今までボスは御自宅には限られた者しか招かれておりませんでしたのに、何故。それに今は……」
真山は声を詰まらせながらも、その声には少しの非難の色が含まれていた。佑月は珍しいとルームミラーに映る真山の顔を見た。その反面、佑月は真山の言葉を嬉しく感じていた。きっとその言葉の端々には佑月の事が含まれている。だから真山は自身で口にしているように無礼を承知でも言わずにはいられなかった。それほどに今や佑月と真山の関係は親愛の情で結ばれている。そう佑月には自負もあった。佑月は内心で真山に礼を言った。
「もちろん部屋に入れる人間は俺が唯一と認めた奴だけだ。どんな例外もない。分かったなら、今は黙っていてくれよ?」
須藤のその言葉で真山は何やら察した様子。
「御心 のままに」
心得たように真山は主に大きく頷いた。
味方だと思っていた真山に裏切られた気がして、佑月はショックで一人唇を噛みしめた。その真山は時折ルームミラー越しから戸惑いと、何とも言えない心境を示すように難しい顔をして佑月を見ていた。
「いっ……!?」
須藤の部屋である玄関に入った瞬間、佑月は突然ドアに身体を強く押し付けられた。とても柔な女性に対する態度とは思えないほどの荒々しさで、佑月は一瞬息が出来なかった。両手は頭上できつく束ねられ、動けないよう動きを封じられる。射抜くような視線で須藤は佑月を見下ろしてきた。
「な、なに急に……。乱暴にされるのは好きじゃないんだけど」
不機嫌にそう言うと須藤の眉がピクリと動く。気に入った女をテリトリー内に招き入れたというのに、明らかに須藤の機嫌も悪い。だが怒っているのは佑月の方なのだ。ここで正体をバラして追いつめてやろうと口を開きかけた時、佑月の唇に熱が重なってきた。
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