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「こんな姿、仁に見られたくなかったし。そもそもこんだけメイクしててなんで俺だって分かったんだよ」  じりじりと後退していく佑月に、じりじりと詰め寄る須藤。 「どんな格好してようが直ぐに分かる」 「いや、普通分かんないでしょ。なに? 仁はエスパーか何か?」  リビング内の壁に佑月の背中があたる。逃げようとした佑月を阻む須藤の両手が、勢いよく壁に突かれた。ミシリと壁が軋む。ヒビでも入ったのではと疑いたくなる程の勢いだったために、佑月はすっかり萎縮してしまう。 「仁が怒ってるのは、あれだろ? その……仁の仕事先に俺らがいたからだろ? 仕事がやりにくいってのもあるだろうけど、俺だって仕事なんだし仕方ないと思うんだけど」 「お前は……」  心底から呆れた顔で佑月は見下ろされる。普段から感情に乏しい男だけに、いざ感情が露わになるとそれが負であれば受けるダメージはかなり大きい。佑月は今の言葉で何をそんなに呆れさせたのか分からず、その理不尽さにも腹が立ってくる。 「何だよ……はっきり言ってくれ……っ!」  いきなり腰を抱き寄せられたかと思うと、須藤の手がナース服の丈の短いスカートの中に侵入してきた。そして太腿を淫靡に撫でた後、網タイツが邪魔だと言わんばかりに毟るように破ってしまった。

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