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第23話
「うわ、なんかすげぇな」
古めかしいけど安定感もあって、タイムスリップしてきたような不思議な感覚を覚える。これが昔話だったら鬼婆とかが出てきそうだ。
「これは日本のベーシックな門なのか?」
彼は子供みたいにワクワクした様子で尋ねてくる。旅館に来たいと言ったものの完全に観光客状態で、それこそ日本のベーシックな歴史とか風俗とかそういうのは全くわからないらしい。
俺も詳しいわけじゃないけど、一応母国だから概要はわかるってくらいで。
「昔はベーシックだったかもしれないけど、今はかなりレアだよ。ベーシックっていうか、こんだけ大きい門だと本当にお寺とか武家とかそういうところの門って感じかな」
「ブケってなんだ?」
「えーと、サムライの家?」
「サムライの家!」
サムライと言った途端に彼のテンションが上がった。目をキラキラさせて、俺の顔と門を何度も往復して見る。
「おいマジかよ! リョカンはサムライの家なのか! サムライがいるのか!?」
なんだか壮大な勘違いをしている。
「サムライなんかいねぇよ、サムライ絶滅してから何年経ってると思ってるんだよ」
「サムライは絶滅したのか!?」
「残念だけど今は限られたテーマパークにしか生息してない」
「oh……なんてことだ……会いたかったぜサムライ……」
傷ついているようだけど、現実をきちんと教えてやらないと。
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