46 / 148
第46話
「もちろんでございます。ご案内せず申し訳ございませんでした、お部屋の方には備え付けておりませんので、食後にご用意致します」
外国人客の中には、あまり浴衣で過ごさない人もいるそうで、あえて部屋においていないのだそうだ。
「何て言ったんだ?」
日本語のやり取りを、目で追いかけていた彼だった。
「せっかく旅館に来たから、浴衣着ようかと思って」
「ユカタ?」
これも説明しないとダメか。
「薄手の着物みたいなものかな」
着物と聞いて、彼の目が輝く。
「着物は着たことがない! 一度着てみたかったんだ」
正式な着物ではないにしろ、それらしい格好は出来るからよしとしようか。
「普通の着物より動きやすいと思うよ。旅館の公式ユニフォームだな」
「公式ユニフォームか、そりゃあいい!」
問題は、高身長のこいつに合う浴衣があるかどうかだけど。
「サイズは8Lサイズまでご用意しておりますが、サイズはいかがいたしましょう?」
そこまでサイズがあればどれかは着られるか。
「こいつ190なんですけど、どの辺になります?」
「190センチでございますね、そうすると、当館の浴衣ですと7Lくらいがよろしいかと存じます」
結構ギリギリだけど、着られるのがあるだけめっけもんだ。普通のLサイズの浴衣と7Lサイズの浴衣をお願いする。
ともだちにシェアしよう!