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第48話
「あぁ、そうだよな、せっかく持ってきてもらったんだし」
俺も浴衣なんて着るのどのくらいぶりだろう。
広げてみると藍の絞り染みたいな柄で、彼のものともデザインが違っていた。プリントしたような柄でもないところを見ると、もしかしたら一枚一枚全て手染めなのかもしれない。
「随分いい生地だな、シルクともまた違うが」
素材まではわからないけれど、確かに肌触りが抜群にいい。そこらへんの旅館のペタペタな浴衣とは大違いだった。
「それで、どうやって着ればいい?」
浴衣を広げた彼は、軽く首を傾げていた。
「えーとな、まず服を脱ぐ」
「服を?」
「その方が着膨れなくていいと思う。もともと風呂上がりとかに着るもんでもあるから」
それを思うと、着るなら風呂上がりの方がいいかなとも思うけれど、一つ一つに興味津々といった様子の彼は、一刻も早く袖を通したいみたいだった。
「どこまで脱げばいい?」
あっという間に上半身の服を脱いだ彼は、ズボンに手をかけている。
「うーん、寒くないならパン1でも大丈夫じゃない?」
寒くはない、と自信満々に言い、ズボンを脱いでしまった。ボクサーパンツ一丁になると、待ちきれないと言った様子でまた浴衣を抱きしめる。
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