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第54話

「お前の乳首がどこにあるのかすぐにわかるな」 ニヤニヤしながら彼が言う。 「恥ずかしいからやめろ」 ツッコミくらいの簡単な戒めをするものの、そうして興奮させたい意図もあったりして。俺が少しずつ興奮してきているのを、少しずつわからせてやりたい。 「ハニー、背中は洗えたから、前も洗ってくれないか」 体を離した彼が、座ったままゆっくりとこちらに向き直る。隠すでもない下半身は、少し硬く反応を示していた。 「前は別料金になるけど?」 冗談めかして言うと、向こうも冗談ぽく露骨に驚いた顔をする。 「いくら必要だ? 金ならいくらでもあるぞ?」 「ははっ、それじゃあただのヤな金持ちじゃねぇかよ」 「お前のために惜しむ金はないと前から言っているだろう」 本当にいくらでも用意しそうだ。 「今日は特別にタダでやってやるよ」 泡だらけの胸のまま、彼の懐に飛び込む。動くたびに下半身も触れ合って、彼の興奮具合を直に感じられた。 「風呂場で触れ合うこともあまりないからな、気持ちがいい」 どっしりとかまえた彼の首に腕を回して、上下運動を繰り返す。たしかに風呂場でもこうやってイチャイチャすることもない。本当にベッドでしかすることがないから変な感じ。熟年夫婦って感じで、あんまり新婚っぽくはないかもしれないな。

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