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第56話

俺の下半身も少しずつ硬直していく。彼のと重ねて擦るように動かした。 「お……いいな、気持ちがいい」 抱きつくと、背中を包むように撫でて抱き返される。 「まとめて洗えるし経済的だな」 「経済的とは違うと思うぞ」 「経済的だし気持ちがいいし、こう言うのを日本語でほら、言うだろう、アレ」 「もしかして、一石二鳥?」 「そう、それだ、イセキニチョー」 「すげぇな、よく覚えたなそんな言葉」 「勉強しているからな」 どうでもいい会話をしながら丁寧に擦っていく。少し息が上がってきた彼は、泡を流したいと言った。 「泡に塗れるのも気持ちがいいが、きちんとお前に触れたい」 首筋に軽いキスを見舞われる。 「わかった。俺もお前に触りたいし」 シャワーをかけて、浴槽に入る。檜の方。岩風呂の方は俺の体が傷つきそうだから嫌なんだそうだ。 「普通に入るならいいが、イチャつくのはダメだ」 「そうかよ。ホント徹底してるよ、感心するわ」 彼が嫌だと言うのなら、素直にそれに従おう。 浴槽は彼が足を伸ばしても余るくらいで、腕に収まるように寄り添うと、全てを包まれている気がしてくる。お湯の温度もちょうどいい。 「ハニー」 言いながら唇を重ねられる。動くたびにチャプチャプいうお湯の音が、なんだか心地いいしいやらしい。

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