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第58話

「ここでするのはお前的にはいいの?」 よくなかったら改まって聞かれるわけないか、と思いながらも尋ねる。 「ここならいい。ただし、俺の上に乗ってもらうが」 そうじゃないと体が傷つく、と眉をひそめる。 「大丈夫だよ、だって木だぞ?」 「いいや、そこだけは譲れない。俺の愛するハニーに少しの傷もつけたくないんだ」 「もー、大げさだって」 とはいえ、そこまで心配されるのも悪い気はしない。 「それなら、立って後ろからとかは? ダメ?」 俺が風呂の縁や柱に手をついて、後ろから繋がるなら、彼の危惧するようなことにはならないだろう。 「なるほど、それでもいいな」 案外すんなり受け入れた。よかった。 後ろからって体位も、実はあんまりしたことがない。わりといつも正常位でちゃんと顔見ながらしてることが多くて。 立ち上がった俺の背後に周り、しゃがんでケツの間を両手で開く。 「少し解してやる」 そのまま唇を寄せた。 「あ、ん」 すでに立っていられなくて、縁に手をつく。前屈みたいになりながら腕で体を支えた。 舌が丁寧に俺の奥を舐め上げていくのを、敏感な場所だから余計に生々しく感じる。 彼が体を動かすとお湯が揺れる音がして、それも生々しさを増長させた。 「っ、あ、あぁ」 声が裏返る。すぐそこから聞こえる木々を揺らす風の音と混じって、なんだか変な感じ。彼の別荘で、彼と混じり合いながら、波の音を聞いたときのことを思い出す。

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