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第60話

彼が入ってくる。ゆっくりと、俺と呼吸を合わせるように、優しく。 「っ、ん……」 じわじわと熱くなってくる。 「大丈夫か?」 耳の裏あたりから声がする。それにも興奮して、背筋がゾクッとした。 「ぁ、へぇき……っ」 彼を全て受け入れ終えた頃には、独特の苦しさもなくなっていた。 「はぁ、やっと繋がったな」 彼も満足そう。 「すげぇ久しぶりみたいに言うし」 朝したばっかりなのに。 「朝なんかだいぶ前の話だからな。今日は一日いろいろなことがあったし」 「まぁ、ね」 「やっと新婚旅行に来られて、念願のリョカンにも来られて、お前とゆっくりできて、大満足さ」 言いながら、ゆるく腰を突き上げてくる。 お湯の揺れる音がする。 「っ、ん」 「ハニー、たくさん声を聞かせてくれ。いくら声を出しても誰もここには来ないんだ」 彼が囁きながら、柱の上の方に手をつく。すっかりしがみついて喘いでいる俺は、彼に包まれているような変な気分になっていた。 「あっ、んん」 軽く背中をしならせる。それでも彼は全身で背後で受け止めてくれる。

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