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第74話

手持ち無沙汰になった俺は、再び本に手を伸ばした。本文は読めないにしろ、挿絵くらいならみられるだろう。 本当に適当にページをめくっただけだったけど、なんだか刀だったり殴られてたり、さらっと描かれているけど血なまぐさいシーンが多い。これを読み聞かせるなんて、最初から無理だった。 (それにしても) 描かれているのは男ばかりだ。 一体なんの話なのかよくわからないけど、そういう勇ましい話なんだろうか。 (ゲイの話だったりしてな) ちらっと頭をよぎる。昔ってそういうのが今よりも盛んだったって聞いたことあるし。 んなわけないか。いくら自分が男同士の夫婦だからってすぐにそういうのに結びつけるのは安易すぎる。 そうだ、本来の目的のことをすっかり忘れていた。 (あの石だよ) 石の正体だ。パラパラとみたところで、この本からは何かそれらしい情報を得ることはできそうにない。 そもそもこういう絵本を手にしてしまったのが間違いか。それなら始めっから市史とか図鑑みたいなものを見ればよかったものを。我ながら、そもそも本気で調べる気がない証拠だった。 とはいえ思いっきり慰霊碑とか書いている石の存在が気になる。

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