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第96話

「はぁ~? 何それ、変態じゃん!」 初体験を紙面に載せるってこと? さすがに信じられなくて、思いっきり不審な顔をしてしまった。 女将はちょっと微笑みながら困ってた顔をして、残念ながら本当なのです、と続けた。 「各店が競って掲載をしていたそうですよ。さすがに当時の紙面は資料としては残っておりませんが、当時の帳簿や記録に掲載料や他店の陰間の情報などがメモされております」 そんなものまで今も残っているなんて、本当にその陰間さんたちも気の毒というかなんというか。 「紙面には、どの店のどんな陰間なのか、容姿や出身地など事細かなプロフィールも記載されるために、その情報から彼が陰間として働いていることを知ったのだと思われます」 年頃の男だから、そういうのも見るだろうしな。 幸か不幸か、彼と同級生のその男を引き合わせたものであることに違いない。 「なんとも言えない再会だったわけだな……」 彼も気の毒そうな顔をしていた。 「本当になんとも言えない再会でございますね、残念ながら」 女将が細く長く息を吐いた。 「再会し、一夜を共にしたお2人の様子は、流石に記録されていません。密室での睦事は他言無用ですので。ですが」 女将は軽く顔を上げ。少し遠くを見た。

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