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第112話
「俺たちみたいだな」
唇を重ねる合間に、彼が少し低い声で囁いた。彼が興奮してきた時の音。そして、俺を興奮させる、心地よい音程。
「まー、俺よりもお前の方が甘ったれてるけどな」
わざとらしく言いながら、キスをやめて抱きついた。
「でっけぇ図体してんのに、子供みたいだし?」
背伸びしながら抱きつくと、剥き出しの彼の下半身と俺のがパンツ越しに触れ合う。
「俺に子供みたいなんて言うのはハニーだけだ」
困ったみたいに笑ってる。だよな、この図体の大富豪にガキなんて言う奴、世界でどこを探しても俺くらいだろうからな。
「俺の前だけじゃん、こうやって子供みたいになるの」
言いながら腰を擦り付ける。ただでさえ硬い彼の下半身が、ますます硬度を上げた。
「そりゃあ、だらしない俺も仕事中の俺も、全部受け止めてくれる存在だからな。つい甘えてしまう」
「そっか。まぁ、出会いがアレだったしな、俺ら。だらしないお前がベースっていうか」
「バーでの運命的な出会いのことか?」
「ホテルにお持ち帰りされたことだよ、いいように解釈してんなホント」
「どちらも同じことさ」
すると、一気に抱き上げられた。そのまま布団状のベッドに寝かされる。
組み伏せられ、彼の腕が柱のように俺の体の横にそびえ立った。
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