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第123話

「これはきっと、俺たちにとって特別な体位だな」 彼も同じことを思っていたみたいだ。 「あんまり、この格好、しないよな」 胸を布団について、ケツだけ高くした状態で答えた。声も出しにくい。 「そうだな。俺にとっては素晴らしい眺めなんだが」 「そーかよ」 こんな格好、彼以外に見せられたもんじゃないしな。 「前にハニーのこの姿を見たときは、俺の別荘でだったな。お前と再会したときの、記念すべき縁起物の体位だ」 「縁起物の体位なんて聞いたことねぇよ」 「縁起物さ。俺は別荘でこの姿を見たとき、もう心の中ではお前にプロポーズしようと決めてたんだからな。無事に結婚できたし」 「マジかよ、そういうこと恥ずかしいから言うなって」 「いいだろう別に、2人しかいないんだから」 時折、優しく穴に舌を這わせてきながら話し続ける。 「ま、体位は冗談だとしても、プロポーズを決めていたのは本当だ」 「そうかよ」 「そして今日は新婚旅行。こんなに幸せなことはない」 「……うん」 柔らかく優しく舌を這わせられるのが、マッサージされているみたいで気持ちがいい。 「俺にはお化けは見えないが、なんとなく、この宿で運命の再会を果たした彼らが、俺たちを祝福してくれているような気がする」

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