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第128話

俺の両手首を軽く拘束しながら、顔中にキスを落としてくる。 彼の唇は厚めで柔らかくて、触れるたびにむず痒くくすぐったくなる。 「やだぁ」 つい駄々をこねるみたいに首を横に振った。子供じゃないんだからって思いながら、つい彼に甘えてしまう。 「おうおう、そうか、嫌なのか」 こっちはこっちで、子供を甘やかすみたいに適当な返事をする。 「でも少し我慢すると、とても気持ちよくなれるんだぞ?」 また心臓のあたりにキスを1つ。甘やかすみたいな口調は変わりなくて、ますます甘えたくなる。 「ホントに気持ちよくしないと許さねぇからな」 ツンと唇を尖らせると、その唇にまでキスを落としていく。 「お前のことを気持ちよくしなかったことがあるか?」 自信満々に笑顔で言う。もちろん俺だって、本気でそんなこと思っているわけじゃない。 「ないよ。だからいつもみたいに気持ちよくして」 もうちょっと可愛くねだれないもんなのかな。我ながらホント損な性格だと思う。けれど、彼は全く意に介さないみたい。 「わかってる。愛するお前の希望には、きちんと応えてやるよ」 言いながら、デレデレと鼻の下を伸ばしているのも可愛い。

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