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第130話
「やめっ、ぇ」
敏感になりすぎて苦しくて涙が出てきた。顔を上げた彼が、少し驚いたような顔をしている。
「すまない、泣かせるつもりはなかったんだが」
けれど、すぐに困った顔をしながらうっすらと微笑んだ。目尻を落ちていく涙を、舌先ですくい上げる。
「じゃあもう触んなって」
ちょっと威嚇するみたいに見つめるけど、その目つきも可愛いとか言い出すからどうしようもない。
「まぁ、ハニーがそこまで嫌だというのなら、無理に触ることもないからな」
開放してくれたからいいけど、我ながら感じすぎじゃないかと思う。
「……ちょっとだったら、いいけど」
でも、彼に触られるのが本当に嫌かというとそうでもなくて。
彼にしがみついたまま本当に小さい声で呟くと、ハニーは素直じゃないなと言いながら笑われた。
「そういうところが可愛らしいがな」
「たまには怒ってみろって、ワガママすぎるって」
照れ臭くて顔が熱い。
「怒るようなことがあるか? ただただ可愛らしいだけなのに。もっとやってほしいくらいだ」
「お前Mなの?」
「お前限定にMかもしれないな。けれど」
腰を抱え上げて浮かせ、俺の中から彼自身を引き抜く。
「けれど、本当にMなのはお前だと思うがな」
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