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第134話
「ハニーすまないっ、俺の我慢のリミッターが外れたみたい、だっ」
自分でも戸惑ってみるみたいな言い方をしていた。彼の腰は彼の口調とは裏腹に、夢中で俺の奥を突き続ける。
「も、あっ、ゆるしてぇ……っ」
堪えきれずに、俺は彼にたった一度も聞かせたことのない、甘ったるくて涙交じりの声を漏らしていた。
「ああハニー、美しい声だ、もっと聞かせてくれ」
彼は優しい。リミッターが外れたと言いながら、俺を潰さないように抱きしめてくれる。本当にリミッターが外れていたら、きっともっと乱暴に攻め立てているだろう。
乱暴にされたことなんかないけど、彼自身の優しさが、本当はもっと強く激しくしたいところを押さえつけているように感じた。
それが嬉しいような申し訳ないような。
克服できたとはいえ、多分、うっすらと、一生ついて回るのかもしれない。どうしても、あのときのホテルの風景が頭にちらついてしまう。
「優しく、して、くれて、ありがと」
突き上げられる合間に、息を絞りながら囁く。本当は彼の望むままに受け入れたいけれど、今はこれくらいしかできないから。
ヘラっと笑いながら言うと、彼の動きが少し止まって、再びゆっくりと動き始めた。
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