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第6話

「うっ……く……」  ちょうど当直に当たっていた俺が病室に駆けつけたとき、ロイは苦しさのあまりベッドのシーツをきつく握りしめていた。 色が変わるほど固く握りしめられた手が苦しさの大きさを表していて。  看護師に注射と点滴の用意をするように指示をすると、俺はロイの枕元に近づいた。 「ロイくん! ロイ……大丈夫。すぐに楽にしてあげるから、ね」  そう声をかけると、痛みに汗ばむなめらかな肌をそっと撫でてやる。 「せんせ、北見先生……苦し……」  ロイは薄っすらと瞳を開け、俺を見る。顔色は青いのを通り越して真っ白である。 「大丈夫だから。オレを信じて」  俺の言葉に、ロイは苦し気な呼吸の中、こちらをじっと見つめると、唇に微かな笑みを浮かべた。 「は……い」  弱々しい声で言葉を発すると、ロイは安心したように目を閉じる。  幸いロイの発作はすぐに治まり、心臓にダメージを与えることもなかった。  そして。  この夜のロイの発作が、俺に教えてくれた。  自分はロイに恋をしていると。  ロイが苦しむ姿は絶対に見たくない。  彼の命が助かるなら、なんでもする。  自分の命を捧げても惜しくはないと心の底から思った…

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