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第7話
ロイの発作の数日後、スタッフステーションの自分のデスクでパソコンに向かっていると、通りかかった看護師が声をかけてきた。
「北見先生、ロイくん、あれから具合いいみたいですね」
「ああ。うん。そうだな」
数日前発作を起こしたのが嘘のようにロイは元気にしている。
「でも、ロイくんって本当に北見先生に懐いているんですねー」
「え?」
俺が首を傾げると、看護師の女性はクスクスと楽しそうに笑う。
「さっき、血圧と体温を測りに行ったとき、ロイくん言ってましたよ。『北見先生は魔法が使えるのかな』って」
「? 魔法?」
「ええ。『この前の発作のとき、北見先生が頬を撫でてくれたら、苦しいのも痛いのもスウッって楽になったんだよ』って。『まるで魔法みたいだった』って」
「ロイがそんなことを?」
「ええ。かわいいですねー。本当ロイくん」
「魔法、か」
そんなかわいいことを言われると、俺はますます君にのめりこんでしまうよ。ロイ……。
でも。
本当に魔法が使えたら……たった一度だけでいいから魔法が使えたら。
君を救ってあげられるのに――――。
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