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第13話

 ケーキを食べて、ほんの少しだけワインを飲んで。  二人他愛のないことを語り合い、笑い合う。  ロイはオレのことを知りたがり、オレもロイのことを知りたくて。  話は尽きず、時間はあっという間に過ぎて行く。 「ロイ。そろそろ眠らなきゃ。今夜はずいぶん夜更かししているから」  時刻はもう24時を超えていて、ロイの誕生日も過ぎてしまった。  病院での消灯は10時なので、2時間も遅い。 「体、しんどくないか?」 「大丈夫、です」 「君はオレのベッドを使って」 「え? じゃ北見先生はどこで眠るの?」 「オレはソファででもねるから」 「だめだよ。先生、風邪ひいちゃう」  大きな瞳で心配そうに言われると、理性がどこかへ飛んで、君を抱きしめたくなる。 「平気だよ。エアコンをガンガンにかけるから」 「でもっ……」 「ロイ、君はお客さんなんだから、そんな気を使わなくていいの」 「じゃ一緒にベッドで眠ろ? 先生」 「は?」 「二人で眠れば暖かいし。そうしようよ。先生」  ロイが俺の服の裾をつかんでくるのには、正直言ってかなり動揺した。 「ち、ちょっと待って。それは……」  それはまずい。  オレはロイが好きだ。  はっきりと恋愛感情を持っている。  そして、恋愛感情を持つということは、同時にロイに対して情欲を覚えてしまうということでもある。    ベッドはダブルベッドで男二人でも眠れるが、愛しい相手と同じベッドで寝て、手を出さないでいる自信は俺にはない。

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