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第15話

「……っ……北見先生、僕が、いなくなっても、僕のこと、忘れないでいて、ね」  涙混じりに、途切れ途切れに紡がれる悲しすぎる言葉。 「ロイ……」  ロイが知っていたなんて。  屈託のない笑顔の裏で、どれだけ苦しんでいたことだろう。  情けないことに俺はそれに気づいてあげられなかった。  医師失格だと自嘲し、唇を噛みしめた。強く強く血が滲むほどに。 「先生、そんな顔しないで……」  涙をためながらも懸命に笑おうとする健気な少年。  たまらず、ロイの華奢な手首をつかみ、自分のほうへと引き寄せた。  腕の中にすっぽりとおさまってしまう痩せた体が切ない。  でも。  君はまだ知らないことがある。  俺も同じだってことを。  忘れるも忘れないもない。  だって、俺と君は同じ運命を辿るのだから。  ロイ、オレはずっと怖かった。  自分がこの世から消えてしまう日が来ること。  あきらめたふりをしながらも、怖くて怖くてたまらなかった。  君と出会うまでは。  今は……そう何度でも願うよ。  ロイ、君の命だけは救いたい。

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