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第16話
腕の中で小さく震える体を抱きしめ、抱き上げると、奥にある扉を開け、ベッドの上へ降ろした。
「先生……」
潤んだ瞳で見上げてくるロイの涙が残る柔らかな頬へキスを贈る。
「ロイ、オレは君が好きだよ」
「……先生……?」
「好きだ……」
「せんせっ……ん……」
ロイの唇に自分のそれをそっと重ねる。
ロイが小さく身じろぎ、俺の体を押し返して来た。
「先生……、同情なんて、僕はいらないからっ……」
俺はロイの抵抗を封じ込め、もう一度唇を重ねる。
チュッと音を立てて吸ってから、唇を離し、言葉を紡いだ。
「同情なんかで、男の子にキスなんてできない。俺は君が好きなんだ。信じて」
「せんせ……んっ……」
みたび唇を合わせる。
こんどは先程の二回よりも強く唇をロイのそれに押し付けた。
大好きな人の柔らかな唇は、俺からどんどん理性を奪っていく。
それでもこれ以上の行為に及ぶ気持ちはなかった。
角度を変え、何度も何度もロイの唇へと口づけを重ねたあと、ロイを自分の腕の中に抱きしめる。
ロイの柔らかな髪をそっと撫でると、腕の中の存在がおずおずとその細い腕を俺の背中に回してきた。
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