16 / 27

第16話

 腕の中で小さく震える体を抱きしめ、抱き上げると、奥にある扉を開け、ベッドの上へ降ろした。 「先生……」  潤んだ瞳で見上げてくるロイの涙が残る柔らかな頬へキスを贈る。 「ロイ、オレは君が好きだよ」 「……先生……?」 「好きだ……」 「せんせっ……ん……」  ロイの唇に自分のそれをそっと重ねる。  ロイが小さく身じろぎ、俺の体を押し返して来た。 「先生……、同情なんて、僕はいらないからっ……」  俺はロイの抵抗を封じ込め、もう一度唇を重ねる。  チュッと音を立てて吸ってから、唇を離し、言葉を紡いだ。 「同情なんかで、男の子にキスなんてできない。俺は君が好きなんだ。信じて」 「せんせ……んっ……」  みたび唇を合わせる。  こんどは先程の二回よりも強く唇をロイのそれに押し付けた。  大好きな人の柔らかな唇は、俺からどんどん理性を奪っていく。  それでもこれ以上の行為に及ぶ気持ちはなかった。  角度を変え、何度も何度もロイの唇へと口づけを重ねたあと、ロイを自分の腕の中に抱きしめる。  ロイの柔らかな髪をそっと撫でると、腕の中の存在がおずおずとその細い腕を俺の背中に回してきた。

ともだちにシェアしよう!