17 / 27

第17話

「……北見、先生……」  吐息のような小さな呼びかけ。 「ん?」 「僕も、先生が……好き……」 「ロイ……」  以前に偶然という形でロイの気持ちを聞いて知っていたが、やはり直接告白されると来るものがある。  俺は、自覚なく誘ってくるロイのかわいい鼻をちょんと指で突いてから、苦笑とともに言葉を落とした。 「だめだよ、ロイ。こんなシチュエーションで、そんなこと言われたら、オレ君になにするか分からないよ?」 「……よ」 「なに? 何て言ったの? ロイ?」 「いい、よ。先生になら、なにをされても」  ロイはそう言葉を紡ぐと胸に頭を擦り寄せてくる。  だめだ。  そんな際どいことを言われ、こんなかわいい仕草をされたら、クモの糸よりも細くなってしまった理性の糸が切れてしまう。 「ロイ……」  北見はロイの頬を大きな手で包み込むと、視線を合わせた。 「先生……」  大きな目からポロリと涙が零れ落ちたのを見た瞬間、俺の理性は完全に切れてしまった。

ともだちにシェアしよう!