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ヤキモチ2
「あ………っ……んっ……んっ」
紅いランプの光が妖しく灯るベッドの上。
マツバは横向きになった体勢で片足を担がれ、その孔を西園寺のもので突き上げられていた。
長大なものの切っ先が腹の奥深くを抉ってくるたび、感じる粘膜がヌチヌチと濡れた音をたてている。
しかし、マツバの心はここにあらずだった。
一週間前、西園寺が指名したのはマツバではなくアザミだった。
アザミはここ、淫花廓のしずい邸で一、二を争う人気の男娼だ。
彼の一番の魅力はそのゾッとするほどの妖艶さだ。
男を誘惑するためにあるかのような口もとのほくろと、男を一瞬で虜にする眼差しは同じ男娼であるマツバでさえドキッとしてしまう事がある。
更にアザミはその美しい見た目に比例するように床入りの性技も持ち合わせていた。
美しくて妖艶でセックスもうまい、アザミはまさに完璧な男娼なのだ。
経験も知識も浅い自分とはまるきり違うタイプ。
その男娼を西園寺は抱いた。
それを考えるだけで胸が引きつられざわざわとして落ち着かなくなり、ここ一週間は何をしても失敗ばかりで叱られてばかりだった。
また西園寺に抱いてもらえれば治まると思っていたのだが、彼を前にすると余計に胸が苦しくなり気持ちをどこに向けたらいいかわからない。
「よそ事を考えているな?」
腰を突き上げながら、西園寺がマツバの顔を訝しげに覗きこんでくる。
「何を考えてた?」
弱い場所を狙い撃つように小刻みに揺らされて、マツバは唇を噛みしめた。
「……っ……なに…も………」
「嘘つきは嫌いだと何度も言ってるだろ」
罰を与えるかのように力いっぱい陰茎を握りこまれてマツバは呻いた。
無体な仕打ちをされているにも関わらず、覚え込まされた身体は西園寺のもたらす快感を逃すまいと自然と彼のものを締めつける。
しかし、胸を焦がすような気持ちが消える事はない。
いけない、集中しなければ。
今日はマツバを選んでくれたのだから。
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