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我慢できない

布団に入って二時間、なかなか眠りにつけないマツバは溜め息を吐いた。 眠れない理由は一つ。 今週は西園寺が来てくれなかったからだ。 毎週金曜日の夜には必ず来てくれるのに、今週は姿を見せなかった。 彼は政界の人間で、仕事が忙しいのはわかっている。 貴重な時間を割いてマツバに会いに来てくれている事もわかっている。 けれど西園寺に出会い、彼に抱かれてから身体が頻繁に疼くようになってしまったのだ。 週に一度抱かれればまだましなのだが、間が空くとたちまち身体が夜泣きを始める。 頭の中には西園寺のシルエットがいくつも浮かびあがり、これまでどんな風に抱かれたか記憶が蘇ってくる。 その度にマツバを悶々とした気にさせるのだ。 やっぱり我慢できない… マツバは唇を噛み締めると、布団の中に潜り込んだ。 ぴっちりと閉じた足の間では既に半勃ちになった陰茎が早く触れと訴えている。 寮の二段ベッドの上には、同室のラナンがすやすやと寝息をたてているが、声を出さなければ大丈夫だろう。 マツバは寝巻きの浴衣をはだけさせると足の間にそっと手を忍ばせた。 確かめるように指先で先端を撫でてみるとそこは既に先走りが滲み、ぬるついていた。 「……っっ」 我慢できずに蜜口をなぞると、背筋を官能が駆け上がる。 気持ちいい… あまりの気持ちよさに手が止まらない。 先端を弄っているだけなのにマツバのそこは一気に硬度を増していった。 「もうこんなに硬くして、いけない子だなマツバは」 頭の中の西園寺が咎めるように囁いてくる。 「ハァ、ハァ、申し訳…っございませ」 マツバは小声で謝りながらも陰茎を両手で包むと、今度は上下に擦り始めた。 先走りはあっという間にマツバの両手を濡らし、動きを滑らかにしていく。 布団の中はいやらしい匂いが充満し、濡れた音と合わさってマツバをますます煽りたてた。 「気持ちいいのかな?でもマツバはここだけじゃもうイけないだろ?」 妖しげな西園寺の言葉に促されて、マツバは足を広げていく。 「そうだね、マツバはこっちもしないとダメだもんな」 濡れた指先で自らの蕾をゆるゆると撫でる。 たちまち中が疼き、媚肉が収縮するのがわかった。 「挿れてごらん、いつも俺がしてるみたいに。できるだろう?」 「……はい、西園寺様」 布団の中で恥ずかしいくらい足を開き、片手で尻肉を持ち上げると指先をつぷりと埋めていく。 すぐに指先に媚肉がきゅうきゅうと絡みつき、もっと奥に誘引しようと吸い付いてきた。 「……っ、ハァ、っぁ、ぁっ」 「もっと深くだ」 声に促されるままグッと挿し込むと、媚肉を擦り上げた指がマツバの泣き所を掠めた。 「……っあっ!!」 思わず声が出てしまい、マツバは慌てて唇を噛んだ。 入り口から数センチあたり、腹側にあるそこを弄られるとマツバはいつも我を忘れてよがってしまう。 あぁ、でも一回触ったらだめ… 大きな声を出せば寝ているラナンを起こしてしまうかもしれない。 しかし、刺激を求めるマツバは自らの腸腔を掻き回してしまうのを止められなかった。 ぬちゅぐちゅといいやらしい音が聞こえてくる。 加えて片手で陰茎を擦ると、たちまち恍惚とした快楽に溺れた。 いつの間にか目の前には西園寺の姿があり、うっとりと瞳を細めてマツバを見ている。 「ここだろう?マツバのいいところは。ここをこうして指先で押してやると、腰をビクビク跳ねさせて直ぐにイってるもんな?」 西園寺は中に埋めた二本の指でマツバの前立腺を刺激しはじめた。 ビリビリとした快感が全身に走り、腰が勝手に跳ねてしまう。 「はい、……っ、マツバはっ……っここが、ああっ、すきっ…ですっ、あんんっ」 夢中になって快楽を貪り、西園寺の指をきゅうきゅうと食い締める。 「俺の事も好き?」 媚肉を捏ねくり回しながら西園寺が訊ねてきた。 片手は乳首を摘み、痛いくらい引っ張られる。 「好きっ、西園寺様好き…っ好きぃっ」 「いい子だ、イきなさい」 埋められた指が激しくピストンされ、陰茎を激しく擦られる。 「ああっん、い、イくぅっ!」 マツバは悶絶のよがり声をあげて肋を浮き立たせんばかりにのけ反った。 二度、三度腰を突き上げて、西園寺に擦られた若茎から青い精が噴き上がる。 その青臭い粘液は布団と寝巻きをぐっしょりと濡らしてしまった。 「おはよう」 「………お、おはよう」 食堂で話しかけてきたのは同室のラナンだった。 昨夜はあれから急いで布団カバーを変え(汚れたカバーは多分男衆が何とかしてくれた) 寝巻きを着替え、眠りについたのは起床時間三時間前くらいだった。 ラナンにはバレてはいないと思う。 彼はマツバが証拠隠滅している間も寝息をたてていたから。 「今日は西園寺様が来るといいね」 不意に告げられて、マツバは「う、うん」と答えた。 が、しかしすぐに疑問符が頭に浮かぶ。 ラナンに西園寺の事を話しただろうか? 「そういうムラムラ〜ってする時あるもんな。俺もマツバが寝てる時けっこう激しくオナっちゃう時あるし」 ラナンはそう言うと、ニッコリと微笑んだ。 「あ。そうだ今度から道具も使うといいよ。俺も使ってるけど前立腺簡単に刺激できるやつもあるから指より気持ちいいし、ってあれ?マツバ?どうした?おーい」 マツバの顔が真っ赤になったのは言うまでもない。 end.

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