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決戦準備

そしてついに、決戦の夜が来た 今日は手っ取り早く炒飯とたまごスープを作り、他愛もない話をしながら早めの食事を取った それから一緒に歯を磨いた後使った食器を片付けて、しばらくソファに座ってテレビを見る 妙な緊張をほぐすように柔らかいソファに体を埋めると、アキも真似をするように背もたれに背中を押しつける き、今日はアキのために頑張る日だから、無駄な体力をここで使わないようにしなきゃ…… 「眠い?」 「ううん、眠くない……………」 そう思いながらぎゅっと目を瞑ると、俺を気遣うような優しい声色でそう尋ねてくるアキ 心配しなくても、今日もちゃんと抱かれてやるから安心しろと心の中でそう言う 「俺、シャワー浴びて来る」 「お風呂沸かそうか?」 「大丈夫、すぐ上がるから」 「そっか、じゃあ待ってるな」 俺が炒飯を作っている間に手っ取り早くシャワーを浴びたアキを残し、俺はまだ新しい部屋着と下着を持って脱衣所へ向かう 俺の表情や態度は至って普通 今日1日踏ん張って、やっと照れ隠しが使い物になってきたと実感する だがこんなまっさらな顔をしていても、俺の心臓だけはどくんどくんと速く大きく鼓動していた 「あ、おかえり」 「ん」 「ふふ、翔の肌あったかくてふわふわ」 「もう……やらしい触り方するなって……」 風呂から上がると、アキが俺を出迎えるかのように抱きしめてくる そして俺が手に持っていたタオルを奪うと、俺の頭にそれを被せて優しく髪を拭く 俺の髪のタオルドライが済むと、今度は部屋着のTシャツをすり抜けるように俺の腰の素肌に触れ、ナチュラルな手付きで撫でてくる 「あれ、今日何かいつもよりすべすべ?」 「き、気のせいだろ………」 「いや、絶対違う」 「な、何にもしてないって…………」 嘘だ 何にもしてないなんて言ったが、それは嘘 実は昨日の晩、お風呂上がりにちょっとした一手間を加えたのだ その一手間とは、姉ちゃんの高級ボディクリーム これを使うと肌がすべすべになる、と前に姉ちゃんが自慢してきたのを思い出した俺は、昨晩勝手にそのボディクリームを拝借した そしてうええ、と悲鳴を上げながら濃厚なボディクリームを全身にたっぷりと塗りたくってやったのだ これもアキを満足させるための材料 今日を見越して昨晩から準備していた甲斐があった 「もっと、触っても……いい、よ……?」 「ふふ、今日何か積極的だな」 「や、やだ…………?」 「ううん、すっげえ唆る」 俺がそう言うとアキは嬉しそうに、そしていやらしく笑って今度は太ももに手を伸ばす アキの手が少しでも俺の腿に届きやすいようにきゅっと背伸びをすると、アキの唇にぐっと自身の唇が近付く あ………チュー、するかな…………… 「ん、ぁ………っ」 「ふふ、キス待ち?」 「ち、ちが……………っ」 「んふふ、かわいーやつ」 この距離になると必然的にキスをされると思った俺は、ぎゅっと強く目を瞑りそれを待った だがアキは、焦らすようにキスをかわしてショートパンツの隙間から手を忍ばせる そして太ももとお尻の境目を指先でなぞると、やっとねっとりとしたキスをくれる 「んむっ………ん、んんッ……………」 「しょーう………」 「あっ…………ん、んんんっ、ぅ……っ」 激しく唇を貪られながら、次第に体がアキに押されて後ろへと進んでいく そして膝の裏が何かに当たったかと思うと、そのままぽすんと柔らかいマットレスへと押し倒される そんな中でもアキのキスは止まらなくて、俺も必死に舌を絡めてアキを求めた あ……なんか、そういう空気になってきた……… この空気がずっと続けば、俺も2回目をナチュラル感じで誘えるかも…… 「ぷはっ…………」 「な、シてもいいか?」 「ん………そのためにお風呂入ったんでしょ…」 「ふふ、それもそうだな」 1分ほどで唇を解放され、はぁっと息を吸い込む それでもまだキスし足りない気がして、余韻を追いかけるように自身の唇に触れた 温かく熱を持った唇を残したまま、アキは最後の確認を俺に与える アキはいつも、こうやって俺に許可を取る アキのその人を気遣える優しい心に惹かれたんだ、とそう言いたかった俺の口は下手な照れ隠ししか放つことが出来なかった だがそれでもアキは嬉しそうに微笑んで、熱の籠もったキスをもう一度くれた アキのとろけるような激しいキス ねっとりとした、甘い前戯 甘い言葉も優しく気遣うような態度も 全て俺だけがアキにもらえる“特別”なもの そう思うと、俺もアキのためにたくさん尽くしてあげたくなる 今日は俺、アキを満足させられるかな………

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