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ワイルドでダンディな小麦肌の作り方

アキと2人、たどり着いたのは集合場所から徒歩5分ほどの場所にある更衣室 扉を開けると中は意外にも綺麗で小ざっぱりしており、いくつか個室も備え付けられていた その上トイレや手洗い場、シャワーもしっかりと完備されていて学校の更衣室と大差ない 「へぇ、意外と綺麗なんだな」 「最近は多いみたいだぜ、こういうとこ」 「ふぅん………」 感心しながら部屋を見渡すと、更衣室の中には俺たち以外に同世代の男が5名ほどいた みんな個室に入ることなく、その場で適当に着替えて服を鞄に詰めたりしているようだ ま、男しかいないもんな………… 俺も手っ取り早く着替えてみんなの所に行こっと…… そう思いおもむろにリュックを下ろして帽子を外し、Tシャツに手を掛けようとした時だった 「翔は個室使って」 「えっ、何で、ここでいいよ別に」 「だめ、いいから個室使って、な?」 「な、何でだよ……ちょっ、押すなってば……」 アキが床に置かれた俺のリュックと帽子を持ち上げると、俺の背中を押して個室へと導いた 個室に入るのも面倒なのでそれを否定するも、アキは俺の言い分を聞くことなく俺の背中を強く押した アキの力に敵わなかった俺はあっと言う間に個室に押し込められ、鞄と帽子を持たされる な、なんだよ……………… 「な、何で俺だけ個室なんだよぉ………」 「いいから、オレの言うこと聞いて」 「うぅ……分かったよもう………」 「日焼け止めもちゃんと塗ること、いいな?」 「うるさいなぁ…………」 いくら抵抗しても一歩も譲らないアキ 結局俺が折れるしか選択肢はなく、俺は渋々頷いて個室の扉を閉めた 個室の外からはアキのお節介とも取れる注意が次々飛んで来て、俺はぼそっと愚痴を呟きながら今度こそTシャツを脱ぎ始めた ったく何なんだ、アキのやつ…………… 口うるさくて過保護で、まるで姉ちゃんみたいだ そう思いながらもこれ以上思っていることを口にすれば何をされるか分からないので、俺は大人しく個室で着替えを済ませることにした 「よいしょ……っと………………」 Tシャツを脱ぎ、履いてきた細身のパンツと下着も一緒に脱ぐ そしてそれを床に脱ぎっぱなしにしたまま鞄からこの間買った海パンを取り出して脚を通す この海パンは、アキが選んだものだ あの後結局アキは俺が選んだ水着を買い、代わりに俺のはアキが選ぶことになった もちろんビーチサンダルはアキの提案で買った色違いのものを持参 これで海水浴の準備はバッチリだろう 「おっと、日焼け止め日焼け止め…………」 海パンを履いて準備万端、というところでアキに口うるさくて言われていたことを思い出す そして俺は鞄から姉ちゃんに渡された日焼け止めを取り出して蓋を開けた 母さんの遺伝か、俺は昔から肌が白く皮膚が弱かった 日焼けをしても赤くなるばかりで上手い具合に肌は焼けず、いつも痛い思いをしては泣いていた 白い肌は男らしくなりたい俺にはコンプレックスだった それでもやっぱり小麦色のワイルドで男らしい肌が諦めきれない俺は、毎年姉ちゃんの注意を振り払いわざと日光に当たったりしていた 結果は変わらず赤くなるだけだったが でも何だか、今年はイケる気がする………… 今年の俺は東京の男だし もう田舎者ではないのだ だから都会の力で俺の肌もワイルドに焼けてダンディな男になれる気がする 「適当でいっか…………」 そう思った俺は匂い付け程度に手のひらに少量の日焼け止めを出すと、ぺっぺと胴体になすりつけた これできっと日焼け止めの匂いもするし、アキも俺が日焼け止めを塗ったと信用してくれるはず 我ながらなかなかにナイスな作戦だ、と俺はご機嫌でドアノブに手を掛けようとした時だった 「えっ、ちょっ…………」 「おじゃましまあす」 俺が扉を開けるより先に、なぜか勝手に扉が開いた すでに海パンに着替え鍛え抜かれた体を曝け出したアキがずかずかと中へ入り込んでくる そして訳が分からず戸惑う俺をよそに、アキは扉を閉め個室の鍵を掛けた 「ちょっ、なに……っ、狭いんだけど……っ」 「ちゃんと日焼け止め塗ったかなと思って」 「……ぬ、塗ったってば……いっぱい塗った……っ」 「あ、嘘ついたな、バレバレだぞ」 アキの目的を聞き、俺はビクッと肩を震わせた それでも負けじと苦し紛れの嘘を吐くが、結果は惨敗 アキは俺の嘘を軽々と見抜き俺の鞄からこれかと言って日焼け止めを取り出した 「はい、やり直し」 「ひゃっ……!?」 「みさきさんに言われただろ?ちゃんと塗れって」 「うぅ………やぁだ……………」 「やだじゃねーの」 アキが俺の海パンをずるんとずり下ろす あっという間にすっぽんぽんにされてしまった俺は、ぷるぷると震えながらアキによって壁側に追いやられる そしてアキは日焼け止めの蓋を開けると、たっぷりとそれを手に取って両手に広げた 何だか嫌な予感がしてアキの顔を見上げると、そこには憎たらしいほどに整った雄の顔があった

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