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九条家③

目の前にいる名前も知らない爽やかな少年と可愛らしい少年二人。 瑠依と瑠加はお互い顔を見合わせた。 「ねぇ、ほんと誰この人達?」 「だから俺に聞くなって!!」 「だって聞いても名乗るほどの者じゃないんでって言われるんだもんよ!! なんでこの俺がこんな気を使わなきゃなんないのさ」 二人の自称親衛隊は彼らに心酔している者ばかりな為か名乗る事もおこがましいなんて感じる人もいた。 それに彼らはクラスが別だから未だに名を知らない。 そして寮を出て食堂へとやって来ると周りには更に人が増えていた。 「瑠依様、瑠加様、いつもの席を確保しておりますのでどうぞこちらへ」 「はぁ………」 いつもの席と言ってもたまたま初日から数日だけそこを使用しただけで別にその席に拘るつもりはない。 むしろ他の席に移動したいほどなのだが。 だが一々それを言うのも面倒だから仕方なくその席へ着こうとしたときだった。 何やら怒声が聞こえてきた。 「おいお前!!何九条兄弟の隣に座ろうとしているんだ!?」 「す、すみません……」 「目障りだ、消え失せろ!!」 どうやら男子生徒が双子の隣が空いていたから座ろうとしたらしい。 だがそれを良しとしない親衛隊が彼を追いやろうとしていた。 そんな状況を見かねて瑠依が口を出す。 「別に俺は構わない。 ここに座ったらいい」 「え?」 そう言うと先程の少年は驚いた顔をしたのと同時に親衛隊も信じられないと言うような表情をする。 「お待ちください瑠依様。 ご存知無いのでしょうが彼はΩですよ?」 「Ω?」 「そう、Ωです。 そんな彼がお二人に近づこうなどおこがましいことこの上ありません!!」 「「………っ!!」」 Ωを否定するような発言に二人の心中は穏やかでは居られなかった。

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