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九条家長女
「見て見て、玲香様よ」
「はぁ、なんて美しいの……」
ここ、聖雷学園に今年入学してきた新入生たちの中に一際目を引く女の子がいた。
身長が高く、手足が長い彼女はモデル体型でキリリとした目元特徴的で整った顔立ちは男女問わず美しいと虜にする。
そんな彼女を遠目に嫌な顔をするのは九条家の双子、瑠依と瑠加だ。
「あ~んなに囲まれちゃって……
皆騙されてんだよあの暴力女‼」
「正直女子校に行ってもらえれば関わらずに済んだのにな」
そう悪口を言いながらため息をつく二人だがその長い金色の髪をたなびかせた彼女が目の前にいて、思わずうわっと奇声を発してしまった。
「聞こえてるのだけど?
全く、相変わらずだらしないな。
兄の威厳と言うものはないの?」
「……出たよ説教」
そう、彼女は双子の1つ下の妹でαの九条玲香 。
希一似の彼女はしっかりものでいつも適当な兄二人を窘めることが家では日課だったが
双子が寮に入りそれがなくなったと喜ぶ二人だったのが玲香は兄と同じ学校を選んでしまったことに二人は憂鬱だった。
けれどそんな彼女を慕う者は多い。
弓道部に入った玲香の腕前は一流で、更には周りへの気遣いもでき上級生からも一目を置かれる。
元々男ばかりの家で育った玲香。
それを不安に思った両親がメイドを雇い女性にしか言えない悩みなどはメイドに任せていたが
やはり周りが男だらけなため少々ボーイッシュな性格になってしまった。
それが逆に女性ウケが良く、彼女に憧れる女の子が集まるようになっていったのだ。
「ああそうだ兄様、
うちの末っ子からのメッセージがある。
「勉強頑張ってね、早く会いたい」だそうだ」
彼女の入学早々に伝えられた弟からのメッセージにお兄様は泣かされるのであった。
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