九条家のアイドル、それは九条家の末っ子の蘭だ。 明るく活発な彼はいつも家族の中心に居て、特に兄二人には溺愛されている。 そんな彼は中学に上がり受けたバース検査でΩだと分かった。 兄弟の中で唯一のΩだ。 まだまだΩへの差別が酷い中で家族は大丈夫だと蘭を抱き締めてくれた。 けれど友達には言ってはいけないよと釘をさされた。 それは希一がいじめを受けた経験から蘭を守りたいと思っての事だったが当の本人はいつかは分かることだからと仲のいい友達に打ち明けてしまったのだ。 そして学校から希一が呼び出された。 ああ、恐れていたことが起きた。 希一は急いで学校へ行くと担任に連れられ蘭が頬に傷を作り現れた。 ｢蘭、これ……｣ ｢………｣ バツが悪そうに蘭はそっぽを向いてしまう。 すると担任が代わりに話始めた。 ｢蘭君、性別の事でからかわれて頭に血が上ってしまったようで相手を殴ってしまい喧嘩になって怪我を……｣ Ωであることを悪く言われ、かっとなって相手を殴る、蹴ると激しい喧嘩になりお互いに怪我を負ってしまった。 家ではとてもいい子で喧嘩など無縁のようだが 学校等では希一と違い少々気の強い蘭は我慢するよりも手が出てしまう子だ。 正義感が強くもあるから余計な事に首を突っ込んで喧嘩して怪我して、小学生の頃から希一は呼び出され何度謝ったことか……。 一体誰に似てしまったのかと希一は頭を抱えているが、それでも自分の性格に似てしまうよりもずっといいと思った。