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九条家の末っ子②
こんな性格の蘭だからよく一人でなんでもやりたがる。
この日も一人で電車に乗って学校で使う筆箱を新しいのが欲しいから買いに行くと言うのだ。
「待って待って待って!!」
「お前一人で行くのは危ない。
ましてや電車なんて言語道断だ」
大学生になった過保護な兄二人が危ないから車で連れていってあげるからと言うが蘭はそれに不満だ。
「大丈夫だよ。
もう中学生だよ?皆一人でいろんな所行ってるし」
周りがしていることは自分もやりたい。
この自立心を大事にしたいと思う反面、彼はΩだ。
何かあってからでは遅い。
「首輪も着けるし……、ちゃんと門限守るし……」
シュンとする蘭を見て可哀想になり希一は仕方ないと、せめて陽介と一緒と言う条件を出し蘭もそれに納得した。
「ごめんね陽介」
「別に気にすんな」
あれから希一の従者として傍で支えていた陽介。
雫とはなんだかんだで恋人になりこの広い屋敷で一緒に住み込みで九条家の世話を焼いている。
陽介と共に電車に乗り込んだ蘭は少しだけ不満気だ。
「皆過保護過ぎ。
俺大丈夫なのに……」
「そうだな、お前はしっかりしてるし希一と違って方向音痴でもないし大丈夫なんだろうけど、お前はΩだ」
「そんなの……」
「そんなの…、関係ないか?
お前はそうでも周りはそうじゃない。
残念ながらな」
未だにΩを嫌う人々は多いし、万が一αに項を噛まれでもしたら取り返しがつかなくなる。
皆が蘭に対して過保護になるのも仕方の無いことと割り切らなければいけない。
それでも大切に想ってくれる家族がいることを感謝すべきだと陽介は言う。
「世の中には家族にさえ見放されるΩや
悲惨な末路を辿るΩも存在する。
ま、よく考える事だな。
お前は賢い」
そう陽介は蘭の頭を撫でる。
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