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運命とは奇なり
周りに愛され育った蘭は家族皆が通った聖雷学園高校へ進む事となる。
母である希一も言っていたがΩは就職しにくいと。
だからなるべく選択肢を増やす為にも学歴は必要であると。
特になりたい夢等無いが将来どうなるかは分からないから勉強は頑張った。
優秀な兄、姉達に教えてもらったお陰で蘭も優秀な成績で聖雷へ入学した。
そんな聖雷だが、希一が卒業して以来から少しずつΩへの扱いが変わってきた。
まず寮ではΩはΩ同士でしか同室にならない。
そして発情期になったΩの為の部屋も用意され原則αは立ち入り禁止だ。
それもあり、この学校に入るΩは少しだけ増えた。
増えたとは言え1学年に数人程度。
まだまだΩに対する偏見もあるからαの多いこの学校では立場が弱い。
それでも、聖雷卒であれば将来の道は多少なりとも開けるだろからΩは皆必死だ。
早速入寮した蘭は荷物を持って部屋へ入る。
「失礼しま~す」
「あっ……!!」
二人部屋のここにはルームメイトとおぼしき男の子が先に来ていて蘭は挨拶をする。
小柄でとても可愛らしい男の子だ。
「君がここの部屋の人?
俺、九条蘭。宜しく!!」
握手しようと手を差し出すと少しビクッと震えるもゆっくり蘭の手を握った。
「えと、坂下、尚……です。
あの……君もΩ、なんだよね?」
「うん、そうだよ?」
「そっか、そうだよね……。
良かった……」
坂下尚 、彼はΩと言うことで不安だったらしく蘭が同じΩと分かると安心したように深呼吸した。
それに他のΩと接するのは初めてなんだと言う。
だからか、ぎこちないながらも蘭に色々と話し掛けてきた。
「僕、周りにΩなんていないから九条君と話せるのは凄く安心する。
色々聞いたりしてもいい?」
「勿論!!」
早速友達が出来て緊張も解れこの日はずっと彼と話をしていた。
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