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運命とは奇なり②
ルームメイトの坂下尚と仲良くなりお互い下の名前で呼ぶようになった。
そして授業が始まる。
幸い蘭は尚と同じクラスになった。
だがやはり二人はΩと言うことで浮いていた。
まぁ蘭はそんなことは気にはしない。
中学の頃からこんな感じだった為今更どうと言うことは無いが、尚の方は少し居心地が悪そうだった。
そんな中でも二人を気にかけてくれる人物はいた。
「二人とも、一緒食べよう?」
「うん、じゃあ食堂行こうか尚。」
「うん。」
昼休みに二人を誘ってくれたのはクラス委員長の戸倉啓太 だ。
彼はβだが優秀で面倒見もいいからクラス委員長へ抜擢された。
Ωの二人に対しても親切にしてくれるので助かっている。
蘭達は昼食を取るために食堂へ向かう途中、横から追い越し様に男子生徒が尚にぶつかりその拍子に尚は蘭にぶつかった。
「邪魔なんだよΩが。」
番のいないΩは皆学校では原則首輪を着ける決まりになっている為、Ωだと言うことは端からすぐに分かってしまう。
だから知らない相手にもこんな風に絡まれる事もある。
「すみませ……っ」
「ふざけんな!!」
尚はなるべくトラブルを避けるため謝ろうとするところを蘭は遮って相手に食って掛かる。
「Ωとか関係ないだろ!?
お前がぶつかったんだからお前が謝れ!!」
「あ?」
「ちょっ、蘭君!!
お願い、止めて……。
僕が謝れば済むことだから……」
「は、何で?
尚は何も悪くないじゃん!!
謝るべきはこいつだろ?」
「蘭君!!」
尚は穏便に済ませたいのに蘭はこんなのは理不尽だと頑として譲らない。
このままでは大事になってしまうと尚は相手にすみませんでしたと一言頭を下げると蘭を無理矢理戸倉と共にこの場から連れ出した。
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