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運命とは奇なり⑤

「誰がお前なんかと番になるかよ!!」 そう蘭に手を振り払われた男の顔はみるみる内に険しくなる。 眉間に皺が寄ると怖い。 「お前、マジで腹立つ。」 それはこっちのセリフだと蘭は睨み付けた。 運命がどうした? Ωを見下したような態度のこいつが心底ムカつく。 「はっ、Ωだからってαに従うとでも? 自意識過剰じゃねぇの?」 α相手に一歩も引かない蘭に彼の頭には怒りマークが浮かび上がって見える。 「良く言うじゃねぇかクソガキ。 てめぇのネクタイの色、1年だろ? 先輩に向かってタメ口、暴言、 いい度胸じゃねぇか!!」 この学校の制服のネクタイは学年によって違う。 1年生は赤、2年生は緑、3年生は青だ。 だが男はどうだ? ネクタイ等していない為判断なんて出来ないではないか。 「よく言うのはどっちだよ!? ネクタイなんてしてないくせに!!」 「あ?ああ、それもそうだな……。 つーかお前うるせぇ。 俺もお前が番とか嫌だわ。」 「はぁ?それはこっちの__」 こっちのセリフだ、そう言おうとした時 蘭の腹がぐぅっと盛大に鳴った。 「………っ!!」 寄りによってこのタイミングで鳴るなんてなんと言う恥ずかしさか……。 蘭は顔が真っ赤になって下を向いた。 そう言えば今昼休みだ。 まだ何も食べていない。 「はっ、腹減ってんならさっさと食いに行けよ。 せっかくここで昼寝しようと思ってたんだ。 丁度いい、邪魔だ。」 「なっ、なっ、なっ!! ああ、もう最悪だ。」 男が寝転がり目を瞑ってしまい蘭は腹が立ちながらもお腹がすいたので早く食堂に行くことにした。 だが、その前に 「くたばれクソα!!」 そう一言残しさっさと走って行った。

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